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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「化学の授業をはじめます。」 2022

★★★★☆ あらすじ 娘の幼稚園で起きた出来事がきっかけで、テレビで料理番組をやることになってしまった科学者の女性。 感想 なぜか料理番組を受け持つことになった子持ちの女性科学者が主人公だ。タイトルから、毎回の番組の様子を描いていく一話完結のシリー…

「街とその不確かな壁」 2023

★★★☆☆ あらすじ 高校生の頃に出会った少女との思い出を引きずって生きる男は、ある日気が付くと、彼女が空想していた壁のある街にいた。 www.shinchosha.co.jp 感想 過去の思い出に囚われて生きる男が主人公だ。ある日、気が付くと思い出の彼女が話していた…

「私が食べた本」 2018

★★★☆☆ 内容 雑誌等に発表された書評と、読書にまつわるエッセイなどを収録。 感想 著者が本を読んで思ったことや感じたことを必死に言語化しようとしていることが伝わってくる書評が並んでいる。すごい真摯で生真面目な態度だが、その分書評としての面白みに…

「短編ミステリの二百年〈2〉」 2020

★★★☆☆ 内容 江戸川乱歩による「世界推理短編傑作集」以降に書かれた作品も含めて厳選した短編ミステリ集。シリーズ第2巻。 感想 前巻ではいまいちピンと来ない結末の作品が多かったが、今作ではちゃんと腑に落ちる作品が多く、どれも読みごたえがあった。前…

「決壊」 2008

★★★★☆ あらすじ 各地で模倣犯が続出し、社会を騒然とさせる事態を招いた犯罪事件の、関係者となった人々の姿を描く。 感想 社会的に大きな反響を呼んだ殺人事件の関係者たちを描く群像劇だ。最初はある男とその家族、さらには両親や兄までもを含んだ一族の様…

「パッキパキ北京」 2023

★★★★☆ あらすじ コロナ禍で心細くなった単身赴任中の夫から北京に呼び寄せられた20歳年下の若い妻。 感想 主人公は元ホステスで夫は20歳年上、ブランド好きで今を楽しんで生きようとする女だ。勉強は出来なさそうだが頭はきっと悪くなく、動物としての直感が…

「緋色の習作 シャーロック・ホームズ全集 1」 1887

★★★★☆ あらすじ ルームメイトとなったシャーロック・ホームズに殺人事件捜査の依頼が舞い込み、それに同行することにしたワトスン。 シリーズ最初の作品。別邦題に「緋色の研究」。 感想 シャーロック・ホームズの最初の作品で、ワトスンとの出会いも描かれ…

「エホバの顔を避けて」 1960

★★★☆☆ あらすじ 世界の終末を告げるため、神エホバに大都市に向かうよう命じられた靴職人・ヨナ。 旧約聖書の「ヨナ書」を題材にした作品。 感想 堕落した大都市へ行き、神の怒りによって滅ばされることを伝えるよう命じられた男が主人公だ。神からの啓示と…

「NUDGE 実践 行動経済学 完全版」 2021

★★★☆☆ 内容 まったく不合理な行動ばかりしている人間に、選択の自由は担保しつつ、より良い選択ができるよう促す手法「Nudge(ナッジ)」について紹介する。 2008年に出版された著書の改訂版。 感想 人間がいかに不合理な生き物かを説明し、間違った選択ばか…

「短編ミステリの二百年〈1〉」 2019

★★★☆☆ あらすじ 江戸川乱歩による「世界推理短編傑作集」以降に書かれた作品も含めて厳選した短編ミステリ集。シリーズ第1巻。 感想 厳選した短編ミステリが収められたアンソロジーだ。第一巻にはミステリには詳しくない自分には、辛うじて名前くらいは聞い…

「ららら科學の子」 2003

★★★☆☆ あらすじ 20歳の頃、文化大革命を体感するために中国に不法入国した男が、30年ぶりに日本に帰ってくる。 感想 中国から30年ぶりに日本に帰って来た男が主人公だ。何か目的があり、それを果たすために物語が展開していくのかと思っていが、そういうわけ…

「人類の深奥に秘められた記憶」 2021

★★★☆☆ あらすじ フランスで活動するアフリカ出身の作家の男は、デビュー作で話題をさらうも沈黙を守り、その後は新作も出さずに消えていったミステリアスな同郷の作家に興味を持つ。 ゴンクール賞受賞作。 感想 一冊の本だけを残して消えた、ミステリアスな…

「「今」こそ見るべき海外ドラマ」 2016

★★★☆☆ 内容 動画配信サービスの普及などで日本でも存在感を増すようになった海外ドラマの現況や歴史などについて紹介する。 感想 海外ドラマについて紹介した本だ。映画界の大物の参入やネットオリジナルのドラマ制作など、活況を呈しているこの業界の仕組み…

「陸軍中野学校終戦秘史」 2004

★★★★☆ 内容 極秘の存在だったスパイ養成機関「陸軍中野学校」の出身者たちが、敗戦の前後にどのような活動をしていたのか、関係者から聞き取った証言を元に明らかにしていく。 陸軍中野学校 - Wikipedia 1971~74年に刊行された「陸軍中野学校」全六巻のうち…

「野坂昭如コレクション 1 ベトナム姐ちゃん」 2000

★★★★☆ 内容 著者の最初期の作品16編を収めたコレクション。 感想 どの作品も、一つの文章が長いのになぜか読みやすくもある著書独特の文体となっている。講談師が喋っているかのようなリズムの良さがあり、グルーヴ感があって慣れてくると心地よい。 人間の…

「 バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる」 2021

★★★☆☆ 内容 SNSで手軽に情報を発信できるようになった時代に、人々に読まれる文章を書くテクニックを紹介していく。 感想 SNSでバズらせる書き方が紹介される。だがここでいうSNSには旧Twitterやインスタグラムなどの短文系のものは含まれていない。想定して…

「この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた」 2021 

★★★★☆ 内容 平成と令和の小説について語り、世の中を考察する対談集。 感想 雑誌「Sight」の企画で毎年年末に行われていたその年の本に関する対談と、平成、令和の小説に付いてそれぞれ語った対談が収められている。雑誌分は2011年から2014年分までの対談が…

「サバイバー」 1999

★★★☆☆ あらすじ 飛行機を乗っ取ったハイジャック犯が、自身の生涯について語る。 感想 主人公は、集団自殺したカルト教団の生き残りだ。親が信者だった宗教2世で、生まれた時から教団が命じるままに生きてきた。成長した彼は長男でなかったために外の世界に…

「宇治拾遺物語」 2024

★★★★☆ 内容 鎌倉時代の説話集「宇治拾遺物語」を町田康が新訳する。 感想 まず、当時話題にもなったが、自由を感じる町田康の訳が楽しい。古典は言葉を噛みくだいて理解するのに必死で、内容にピンと来ないことが多いが、この訳文はスッと頭に入ってくる。「…

「テスカトリポカ」 2021

★★★☆☆ あらすじ 敵対する組織に壊滅的な打撃を受けたメキシコの麻薬カルテルの男は海外に逃れ、たどり着いた日本で復活を期して新たなビジネスをはじめる。 鏡三部作の完結編。直木賞受賞作。 感想 元麻薬カルテルで古代アステカ神話を信奉するメキシコ人の…

「ラム・パンチ」 1992

★★★☆☆ あらすじ ある犯罪者の運び屋をしていたことがバレてしまったスチュワーデスは、捜査官に捜査の協力をするよう持ちかけられる。 クエンティン・タランティーノ監督の映画「ジャッキー・ブラウン」の原作。 感想 無罪放免をエサに捜査に協力を求められ…

「わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる」 2020

★★★☆☆ 内容 人気書評ブロガーによるスゴ本と出会う方法の指南。 dain.cocolog-nifty.com 感想 序盤は本の探し方が紹介される。その中で図書館をもっと活用することを推奨しているのは好感が持てた。気になる本を片っ端から買っていたら経済的にきついし、だ…

「あなたが、いなかった、あなた」 2007

★★★☆☆ あらすじ 友人に会いに行くついでに以前訪れたフェカンに立ち寄ることにした男の心中を描いた「フェカンにて」他、11篇が収められた短編集。 感想 実験的な小説が並ぶ短編集だ。中では最も長い「フェカンにて」が面白かった。フランスの街・フェカンを…

「血の収穫」 1929

★★★★☆ あらすじ 新聞社社長の依頼でとある街にやって来るも、依頼主が殺されてしまった探偵社の男は、悪が蔓延る街を一掃しようと決意する。 別邦題に「赤い収穫」。黒澤明の「用心棒」などその後の数多くの作品に影響を与えた作品として知られる。 感想 悪…

「地図と拳」 2022

★★★★☆ あらすじ 日露戦争に備えて満州へ諜報活動に向かった男は、道中で耳にした石炭が取れるらしい町の調査も行うことにする。 地図と拳 | 集英社 文芸ステーション 直木賞受賞作。 感想 男が通訳と共に満州へ諜報活動に向かうところから物語は始まる。この…

「夜を生き延びろ」 2021

★★★★☆ あらすじ 友人が殺されたことに責任を感じ、大学を辞めてライドシェアで実家に戻る女子大生は、乗り合わせた運転手が友人を殺した殺人犯でないかと疑い始める。 感想 大学の掲示板で募集したライドシェアの相手が、殺人鬼ではないかと疑い始める女子大…

「見るまえに跳べ」 1958

★★★★☆ あらすじ 娼婦と同棲するも、関係を持った受験生が妊娠したことをきっかけに部屋を出ていった大学生の男を描く表題作他、全10篇を収録した短編集。 感想 最初に収められた著者の処女作「奇妙な仕事」はインパクトがある。大学生の主人公が、病院の実験…

「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」 2005

★★★★☆ あらすじ 取引がこじれ、銃撃戦となって全員死んでしまったらしい現場から大金とドラッグを持ち逃げした男とそれを追う殺し屋、そして二人の行方を探す年老いた保安官。 別邦題に「血と暴力の国」。 感想 違法薬物の取引でトラブルになった現場をたま…

「槿(あさがお」 1983

★★★☆☆ あらすじ 中年の男は、定期的に訪れていた献血センターで若い女と知り合う。 感想 中年の主人公が、献血所で知り合った女と、久々に再会した同級生の妹、二人の女の奇妙な思い込みに振り回されてしまう物語だ。 序盤は著者独特の言い回しに慣れず、何…

「その昔、ハリウッドで」 2021

★★★★☆ あらすじ ピークを過ぎてドラマの主演ではなく敵役をするようになった俳優は、イタリア映画の主演オファーを受けるかどうかで悩んでいた。 著書自身が監督した映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のノベライズ作品。 感想 映画のノ…