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【イベントレポート】Spectrum Jam「UXリサーチャーのコミュニケーションデザイン」

こんにちは!スマートバンクでUXリサーチャーをしているHarokaです。

このブログでは、2023年7月26日に開催されたSpectrum Jamで発表した内容と合わせて、時間の制約でお伝えしきれなかったところを補足してお届けします。

Spectrum Tokyo Jam #01では、様々な領域の人(デザイナー、ディレクター/PM、エンジニアなど)が集まり、広義のデザインにまつわるライトニングトークを聞きながら、新たな仲間と出会えることを目的としています。

今回のテーマは「あれもこれもデザイン。あなたのやっている「デザイン」を教えてください」で、私が最近考えている「組織内にユーザー視点をどのように行き渡らせるか」についてコミュニケーションデザインの視点でご紹介しました。

UXリサーチャーの仕事は「実査」のみにあらず

UXリサーチャーという職種名から想起されるように、調査にまつわるあらゆる接点に関わります。いわゆるインタビューやアンケート実施がわかりやすい活動事例ですが、調査の流れの一部に過ぎません。実際は実査までの準備やメンバーへの報告、情報の共有、整理などを並行して行います。

私個人としては、リサーチャーだけが実査を行うべき、という考えではなくリサーチの知見を持った別職種のメンバーに積極的に実査に関わってもらう方がメリットが大きいように感じます。一方、他職種では持ち得ないのが「ユーザー情報の流通」のパートです。組織にどのようにユーザー視点を行き渡らせるか、は専門性を発揮できるシーンが多い気がします。

SmartBankのUXリサーチャーとは、ユーザーのことが気になったら声をかける良き相談相手、ユーザー情報の収集や流通、整理を主体的に行う人、という位置付けがしっくりきそうです。

今回は、そんなUXリサーチャーがユーザー情報を流通させるために、組織内でどんなコミュニケーションデザインを行っているかをご紹介します。

Think N1をみんなが体現する状態をデザインする

「Think N1をみんなが体現する状態」をデザインするには

SmartBankには、「Think N1」というvalueがあります。

一人のユーザーから得た気づき、イシューを特定し、大きな価値を世の中に提供してナンバー1を目指そう、という意味が込められています。(とても好きなvalueです)

SmartBankでは、開発プロセスのファーストステップにリサーチが組み込まれており、N1との対話、主にインタビューを通じて事業を創り上げていきます。

会社のvalueなので、リサーチャーである私のみが体現するだけでは不充分です。リサーチャーの役割・責務としては、「Think N1をみんなが体現できている状態」に近づけることだと思います。

Think N1が体現できている状態とは

💡 Think N1が体現できている状態

ユーザーの生活背景や課題の発生状況をありのままに理解していること 上記の共通認識を持った状態で、メンバーが考えを深めたり、建設的な議論が成されること

私個人の解釈にはなりますが、組織で「Think N1」が体現できている状態を上記で定義し、リサーチャーとしてアプローチできることは何かを日々考えています。

これは、メンバーなら誰でもユーザー情報に触れる機会がないと実現し得ないでしょう。適切に届けられていなければ、そして、ユーザーの生活を真摯に理解したいというスタンスがなければ「自分が思い描いたユーザー像のみ拾う」など読み解きにネガティブな影響が出るでしょう。

ただ、インタビューをこなすだけでは組織で「Think N1」を体現できているとは言えません。

インタビューの位置付けやどういった情報があると事業として前に進みそうか、自分たちが仮説立てのときに思いもよらなかったことが見つかっていそうか、などはリサーチプロジェクトを共にするメンバーと共有して進めますし、そこに関わらないメンバーにもできる限り同等の情報量を渡せるように工夫します。

組織にユーザー視点を行き渡らせるヒント:情報を立体と捉える

情報を「立体」で見えるように働きかける

ここに、一種のメタファーを提供します。

私は、情報は立体である、と考えています。リサーチャーは設計時に、ユーザーの生活背景や課題が起きる状況などを多面的に捉えられるように工夫します。その行動に至った意図や、なぜこのような形になっているの?は、調査の結果だけを拾っていては分かりません。例えるなら、この図のように一方向からの理解に閉じ、平面的な理解に終始することでしょう。

情報は立体だ、と言い切るにはまだ粗いかもしれませんが、立体である、と仮定することでコミュニケーションの設置ポイントをどこにするか?という問いかけがリサーチャーの中に生まれます。ユーザー情報と向き合うスタンスや、アプローチについて思いを巡らせるときのヒントをたくさんもらえるような気がします。

例えば、他ユーザーでも似たような方がいたが、使い方に違いがありそうか、違いがあるなら何か?課題が発生する環境はどういったものだったか?などの見方でもできますし、プロジェクトで持っていた仮説と照らし合わせて、どうか?過去のインタビューのエピソードで似たような事例があったかな…など深く読み解くことができます。 必要なタイミングで、メンバーがアクセスしやすく参照できるよう整備もしています。

リサーチャーが取得したニュアンスなど、微妙な色彩のところは「情報をいかに立体で伝えるか」に苦心しますし、「受け取り手が受容し、それらを理解できるか」は読み解く側のリサーチマインド、過去リサーチの理解度合い等によっても異なります。

だからこそ、あらゆる方向からアクセスできるよう情報を整備したり、情報を取得した背景を伝えたり、職種によって知りたい情報を際立たせて伝えるなどを行っています。組織内で、ユーザー視点を通じてコミュニケーションデザインを行っていると言えるのではないでしょうか。

あらゆる職種でユーザー視点を感じられるように

リサーチに関わる情報をオープンに、アクセスしやすくする

多面的な理解を促進するために、取り組んでいることをいくつか紹介します。

スマートバンクでは、定常的にインタビューを行っており、職種に関わらずメンバーが同席可能です。同席希望者には任意参加の形で予定表を送付します。毎回数名同席、最近では、9名ほどが参加希望を表明してくれました。

また、当時のプロダクトの状況とセットで読み解かないと、インタビュー内容の理解を違えるおそれがあります。そのため、プロダクトや広報など、事業を取り巻く環境についても理解できる「プロダクト年表」を作っています。

例えば、磁気カードからICチップ付きのカードにリニューアルした時期前後では、ユーザー体験も大きく変わっており、ユーザーさんの発話内容にも変化が見られました。

他、インタビューやアンケートは皆が普段よく使うツールに一元管理しておくようにしています。どこに何があるか、アクセス性を高めるべく、データベースを構築し、フィードバックをもらいながら四半期に一回は見直すようにしています。

多面的な理解を促し、リサーチを起点に事業を考えられるように

リサーチャーは、あらゆる職種と横軸で関わるため、リサーチが機能するように、必要なタイミングを逃さない/読み解く側のマインドセットを整えるなども行っています。

入社したら必ずインタビューを受ける体験をしてもらう、1ヶ月インタビューに同席して書記を担当してもらう「新入社員オンボーディング」を通じてリサーチに向き合う態度を育成することも大事にしています。

どれだけユーザー情報の流れを整えても、受け取り手が必要ないと感じたり、間違った受け取り方をすると本末転倒です。受け取り手のことを注意深く観察し、どのタイミングで渡すと良いか、どう捉えてもらうと良いか、などにも気を配っています。

全ては、リサーチが活用され、リサーチを起点に事業を考えられる環境をデザインするためだと思っています。

組織に必要なユーザー情報をとりにいき、組織に行き渡らせるための仕掛けを考え、環境を整備する役割として、引き続きアプローチしていきたいと思っていますし、同じような取り組みをされている方がいらっしゃればぜひ情報交換させていただきたいです!


 リサーチャー、PM、エンジニアと協業しながら進める開発プロセスについて、8月3日19時からのイベントでお話予定です!よろしければぜひご参加ください👏

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