前書き COVID-19流行によって、「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方が容易い」というテーゼの誤謬が露呈した。少し消費活動が麻痺するだけで、資本主義のシステムは揺らぐ。そこには以前のような絶対性は存在しない。そして、その絶対性に立脚していたVaporwaveもまた、である。 もはや以前のようにVaporwaveが受容されることはないだろう。Vaporwaveはついに「死ぬ」運命にある。そこで、Vaporwaveに引導を渡し、その思想を受け継ぐために、「Vaporwaveは一体なんだったのか」を考える必要があるように感じた。その一歩として、自分が書いた「Vaporwaveの文化社会学的考察」を、一部修正・加筆して公開する。 本論考は”Vaporwave"についての文化社会学的考察である。現代思想2019年5月増刊号「現代思想47のキーワード」で取り上げられたほか、ユリイカで特