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「痛み」の本質の理解はここ十数年で大きく変わった。17世紀のデカルト以来、「痛みの経路」で多くを説... 「痛み」の本質の理解はここ十数年で大きく変わった。17世紀のデカルト以来、「痛みの経路」で多くを説明しようとする古いパラダイムが浸透していたが、最近は脳神経科学と認知心理学を組み合わせた巧みな実験の数々によって知見が深まり、痛みに対処するためのさまざまな実践的アプローチが視野に入ってきた。 痛みは脳でつくられるが、その存在は脳の中だけに閉じてはいない。脳・身体・痛みの関係の本質が新たな常識になれば、より多くの苦痛を軽減することにつながる。本書が啓蒙するのは神経科学以上にそうした本質の認識であり、読み終わるとたしかに、「痛み」と自分の関係が変わっている。 本書では痛みのきわめて多様な側面が取り上げられる。持続性の痛みに対処するために必要なのは、全体論的アプローチだからだ。痛がる脳の最新科学、情動や共感の役割、痛みの社会性、「無痛」の研究、鎮痛薬以外の対処法の展開(認知行動療法から編み物セラピ
2024/11/11 リンク