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安部公房の都市 [著]苅部直 『安部公房の都市』。サブタイトルはない。帯には「人気政治学者が読み解く... 安部公房の都市 [著]苅部直 『安部公房の都市』。サブタイトルはない。帯には「人気政治学者が読み解く」とある。少しでも安部作品の評論を読んだことがある人なら、手に取るのをためらうかもしれない。安部作品における都市の問題は、すでにいくつもの論があるからだ。いまさら、何か新しい発見があるのか? 著者が安部作品と出会ったのは、小学生の頃、『人間そっくり』か『第四間氷期』のどちらかをSFとして読んだのが最初だという。これは私も同じ体験を有している。安部が満州からの引き揚げ者であることも、共産党員だったことも知らず、無邪気に安部と邂逅(かいこう)してしまうのは、60年代生まれの特徴であろう。高度経済成長のただ中、変貌(へんぼう)した後の都市しか知らない世代が安部作品をどう読むのか、という点がまず関心をひく。 本書では、安部の中期に位置づけられる作品が中心に論じられる。たとえば、都市の無名性に埋没し自
2012/03/28 リンク