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その日、消費増税検証会議は最終日を迎えていた。各界からの意見聴取は進んでいたが、ほとんどは「予定... その日、消費増税検証会議は最終日を迎えていた。各界からの意見聴取は進んでいたが、ほとんどは「予定通りの増税はやむなし」であった。誰もが「国の借金はGDPの2倍」という言葉には不安を感じていたし、もうここまで来たら、後戻りはできないだろうと空気を読んでもいた。「増税は国民の総意」となって、万一の責任を問われないとなれば、総理も乗るに違いない。そんな観測ももっぱらだった。 最終日も滞りなく進み、意見表明もあと一人となった。残っていたのは、ある業界の代表であった。温厚そうな会長は、「どうか景気対策の方もよろしく」と条件は付けたものの、やはり賛意を表して締めくくった。これで会議も終わりという安逸な気分が流れ、あと5分で刻限という、その時だった。隣に座っていた副会長がおずおずと手を上げ、「一つ教えてもらえまへんか」と関西弁で尋ねてきた。 副会長は、特に意見を言いたかったわけではない。せっかく、首相官
2013/08/10 リンク