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後ろ手でドアを閉める。がらがらと鐘がなる。誰も起きる気配はない。窓際に行って外の街灯から漏れてく... 後ろ手でドアを閉める。がらがらと鐘がなる。誰も起きる気配はない。窓際に行って外の街灯から漏れてくる光を頼りに新聞を読む。 しばらくすると足元がもぞもぞしてくる。犬だ。見ると部屋じゅうが犬で埋めつくされていて、どの犬も動きづらそうにもぞもぞしている。私の足元にいる犬のうちの一匹は友人の犬のラッキーだ。ラッキー。小さな声で呼びかけてみる。振り向きもしない。かわりに遠くで別の犬がちらと顔を上げこちらを見て、すぐにそっぽを向く。出られない。途方に暮れているとドアが開き、鐘の音が響く。犬達が一斉に鳴き出す。しまった。ドタドタと階段を駆け降りる音がする。パニックになりつつもどうにか犬の中から抜け出そうと足を上げ下げする中、ドアの方を見ると、巨大な熊が紙袋を片手に沈黙している。