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アルチンボルドという奇想の画家の作品は、これまでパリのルーヴル美術館やウィーンの美術史博物館で数... アルチンボルドという奇想の画家の作品は、これまでパリのルーヴル美術館やウィーンの美術史博物館で数点を見たのみだったので、いつかまとめて見たいと思っていた。それが何と、上野の国立西洋美術館で個展が始まったので、見に行った。 彼の絵で有名なのは、野菜や草花を使って人間の顔を描いたもの。それは考えつくされただまし絵のようでもあり、精神錯乱の結果のようでもあった。ところが今回見てみると、それは世界の知性の集約のように思えた。 今回の目玉は、『四季』と『四代元素』が全点見られること。春、夏、秋、冬と大気、火、大地、水という連作で、春は大気に、夏は火に、秋は大地に、冬は水に呼応しているという。実はそれぞれ複数のバージョンがあって、ルーヴルにある『四季』は今回は来ていない。 それでもオーストリア、スイス、スペイン、米国から集めたこの連作は圧巻だ。そのなかで特に驚いたのは《夏》。野菜と果物で顔が構成される