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エクスタシーの湖 [著]スティーヴ・エリクソン[掲載]2010年1月17日[評者]奥泉光(作家、近畿大学教授)... エクスタシーの湖 [著]スティーヴ・エリクソン[掲載]2010年1月17日[評者]奥泉光(作家、近畿大学教授)■めまぐるしく語られる無数の断片 小説を読むという行為を、作家が作った虚構の家にしばし住んでみることだと、比喩(ひゆ)的に語ってみよう。その場合、虚構の家はどこにあるのかといえば、本のなかに最初からあるのではなく、活字を読み、想像力を働かせた読者によって建てられるものだというべきだろう。つまり読者は、自分が建てた家に住むのである。 家の居心地のよさだけをひたすら求め、「文学」からただ癒やされたいと願う元気のない読者は、エリクソンの小説は読まない方がいいだろう。この「エクスタシーの湖」と題された活字の列を材料にして、どんな家を建てたらいいか、途方に暮れるのがおちだからである。 実際、二〇〇五年に発表された本書は、ロサンジェルスの街の中心部に巨大な湖が出現するという、SF的な出来事を中
2010/01/21 リンク