IPOはそこそこだったピュア・ストレージが徐々に馬力を発揮して第3四半期好決算

重要データ保管設備を企業向けに販売しているピュア・ストレージは先週、株式公開後はじめての四半期決算発表を行なった。事前にアナリストが予想した収益を上回る結果となり、同社の株価は金曜日の取引で7パーセント近く急伸した。
この数字は2ヶ月前、ニューヨーク証券取引所に上場した日に株価が6パーセントも下落したことからは連想できなかった事実関係を示唆している。前年同期比で営業収益は167パーセント増加し、また四半期損失は18セントと、アナリストの予想より12セントも上回る結果となった。同社はさらに、今四半期の業績見通しを引きあげた。
ピュア・ストレージはとくにフラッシュ・メモリ・チップによるデータ・ストレージ・システムの販売を強みとしている。おおまかに言ってこれはよく使われているUSBメモリと同じチップで、ハードドライヴと同様の機能をもつ。同社はこの数年にわたって、旧来型のエンタープライズ・ストレージ企業として知られるEMCやネットアップへの対決を試みてきた。とくに強みといえるのは業界ではティア・ワン・ストレージとよばれる設備で、決定的に重要かつ頻繁に利用されるデータの保管に使われ、これはエンタープライズ・ストレージ事業ではとくに旨みのある部分といえる。ピュアCEOを務めるスコット・ディーゼンは再三にわたって、同社の顧客がこれまでのようなディスクを基本としたストレージ設備からフラッシュを基本とした設備へと移行させることで数百万ドルものコスト削減効果があったと宣伝してきた。
その成果がどうなったかといえば、ピュアのIPO後に現れてくる。同社はフラッシュベースのテクノロジ企業でIPOを達成した3番目の企業である。2011年のフージョンアイオー、2013年のヴァイオリン・メモリが最初の2社である。これらの企業はいずれも業績が伸び悩み、投資家は3回目の正直はくるのかとやきもきしていた。
ピュアの株価は現在17ドルを下回っており、これは10月7日の公開価格以下である。また、ピュアの競合とされるニンブル・ストレージも2013年に上場したが、先行者の成績は同社の追い風にはならなかったようだ。先月、ニンブルは四半期決算を発表したが事前予想を大きく下回り、翌日の株価はなんと50パーセント落ち込んだ。ピュアの株価はニンブルにつれて数日で30パーセントも下落したが、その後回復途上にある。
リコード誌ではピュアの決算発表後にディーゼンに取材する機会を得た。そのときの話を編集して以下に掲載しよう。
リコード:ピュアは上場してからはじめての四半期決算発表となりました。市場はどうやら好感しているようです。どういった点を強調したいですか?
スコット・ディーゼン:わが社は幾つかの点で正しい選択をしました。6年前ですがデータ・センターのティア・ワン・ストレージへの重点化を選択し、フラッシュへの全面移行を図りました。これによって物理ディスクのときとくらべて大幅なコスト引き下げを実現できました。わが社にしかできないレシピを編み出し、2つのトレンドをとらえることができたのです。市場においてもかなりの成果を出したとみています。ある競合他社はこのトレンドを2つとも見逃しました。
では、競合との関係についてお尋ねします。先日ニンブル・ストレージは決算発表後、深刻な株価下落に見舞われました。御社の株価もつれ安になったように見受けられます。それについてはどう考えますか?
わが社の仕事は事業を成長させることです。株価についてはそれを仕事にする人に心配してもらいましょう。年間の収益は10億ドル達成も視野に入ってきています。いまでも成長率は100パーセントを超えています。他社のことは成長が早いといっても心配していません。ニンブルと対決する機会はほとんどありmせん。あちらはハイブリッド型ストレージ・テクノロジです。スラッシュとハード・ディスクを併用して販売する企業の大半はいわば、ティア・ツーというべき格下の分野に入れるべきで、顧客も小規模です。ティア・ワンはフラッシュへ全面移行しており、ディスクよりもコストを抑えることができています。ティア・ワンで一定の地位を占めることなく、競争力を保つことはかなりむずかしいでしょう。
ティア・ワン・ストレージという分野についていえば、やはりEMCが最大の勢力ではないですか。フラッシュ・ストレージでも「エクストリームアイオー」ブランドを押し出して勢力を維持していると同社は主張しています。この市場についてはどうみていますか?
EMCについては誰よりも注視しています。EMCとどうにか張り合うためには、顧客がわが社のプロダクトと比較検討していますので、そうなった場合7割がたはわが社が選ばれるようです。また、選ばれなかった例には金融工学がいちばん多いと思います。やはり、EMCが網羅しているほどあらゆる分野に手を伸ばしているわけではありません。ただし、フラッシュへの移行が進めばEMCほど失うものが大きい存在はほかにないでしょう。クラウドの発達で、それは進行中です。
御社はEMCのエクストリームアイオーをはじめ、ディスクベースのプロダクトとも直接競合しています。デルがEMC買収提案を行なったことによって、どういった影響がありましたか?
デルとEMCは、報じられている通りの懸念材料があるとはいえ、実るのではないでしょうか。短期的にいえば混乱が生じるでしょうから、それはわが社の好機になります。プライヴェート・エクィティ取引で合併する企業のプロダクトが犠牲になるのはよくある例ですから。おそらくは人員削減が持ち上がるでしょう。さらにいえば、(サードパーティの)新たなチャネルとなるパートナー企業とのあいだでEMCからの乗り換え需要が期待できます。最低でも1年から18か月は決着までかかるでしょうが、EMCはそれでもわが社にとって最大の競合となるとみています。今後5年ないし10年は市場で先行する勢力として追いかけていくと思います。
このようにストレージ企業が合併していき、デルのもとに収まっていく状況で、ピュア・ストレージがどこか他社との関係、たとえばヒューレット・パッカード・エンタープライズの傘下に収まるという可能性はどう思いますか?
ピュアはすでに、デルやEMCと十分に張り合えるだけの位置にいると思います。ただ、はっきり言っておきましょうか。デルのサーバ事業にも供給しておりますし、ヴイエムウェアにも納入しています。だから両社とは近い関係にあります。それでも十分、独立してやっていく力はあると思います。デルとEMCの合併はさほど勢力拡大には効果があるように思えません。なぜなら、わが社の場合フラッシュへの移行、クラウドの発達という2つのトレンドをとらえているからです。他社に対して2年程度の技術優位はあるとみています。それこそ、独立して生き残っていくためのレシピなのです。続きを読む
(From the Re/code blog post. Thanks to Arik Hesseldahl.)