行動志向

(This is a translated version of "A VC" blog post. Thanks to Fred Wilson.)
わたしは行動することを恐れない。行動しないことを恐れる。- ウィンストン・チャーチル
ウィンストン・チャーチルの引用からブログ投稿を始めるのは気障だろう。彼はそれほどの人物だ。だが人はたまには気障になるときもある。今日わたしはそうさせてもらう。
アントレプレナーにどのような特質を求めるかと、しょっちゅう人から訊かれるが、行動志向というのがリストの最上位に来る。1日に1つの決断を下しそれをうまくやる人よりも、1日に100の決断を下しそのうち51をうまくやる人のほうが、わたしとしては応援したい。
ヴェンチャー投資にかんして言えば、スタートアップが悪い決断を下すことによるコストは、よい決断を下すことによる利益ほどは大きくない。だからわたしは行動志向のリーダーが好きだ。
もしあなたが悪い決断を下したときは、悪かったと認めて改めればよい。行動志向で進み、いろいろなことを行動に移しながら、なにがうまく行き、なにがうまく行かないのかを見定めたらいい。
「下手な鉄砲も数打てば当たる」方式がいいと言っているのではない。アントレプレナーはもちろん、先まで深く考え、戦略的であるべきだと思っている。当然、ゲーム・プランもなくてはならない。だがそのゲーム・プランのなかでも、わたしは少ないことに挑戦するよりは多いことに挑戦するほうがよいと信じている。そして、「完璧」ということは「よい」ということの敵だと信じている。
フィードバーナーの共同創業者であり現在はツイッターのCOOをやっているディック・コストロによると、スタートアップとは、暗がりの路を突き進み、行き止まりに当たって初めて気づくことの過程であるという。ディックが言うには、成功したスタートアップの秘訣とは、行き止まりに当たったと判断したらすぐ、べつのもの、べつのものと試みをつづけ、そうしているうちに金塊にぶち当たるというものだという。
テスト、測定、テスト、測定、テスト、測定からなる、マーケティングの古典的な手法と似ている。1日中あることを考え議論し続けるという方法もあるが、そのことをまずやってみて、それからうまく行くか判断するという方法もある。わたしの経験から言って、後者のやり方のほうがずっとよい。
行動志向にはコストがある。つねに「終了」ボタンを押せるようにしておく必要がある。つねにその結果として起こりうる割れたガラスを処理できるようにしておく必要がある。それはやっかいの多いビジネスのやり方であるし、なかにはやっかい事を苦手とする人もいる。
ひとつ例を挙げると、人を雇うことだ。もしあなたが「行動志向」で人を雇っている場合、より多くの人を雇うことになるだろうし、うまく行かない場合も多くなるだろう。ということは、より多くの人を解雇することになるだろうし、人を追い出すことの結果としてどうしても生じてしまう頭痛(と心労)の種を抱え込むことになるだろう。
だがスタートアップについて先に断じたのと同じように、よい雇用を実現したときの利益は、悪い雇用をしてしまったときのコストを大きく上回る。よい雇用をしたときは、組織全体をほとんど片手で持ち上げたようなこととなる。とくに小さな企業の場合はそうだろう。悪い雇用をしてしまったときは有毒となりうるが、そのことを早めに認識し人員整理を行なえば避けられることだ。
すぐれたアントレプレナーのもとで働くのはたいへんなことだ。かれらはあなたを振り回すし、ものごとをコロコロ変えるし、いつ梯子をはずされるかわからない。しかも会社が急成長すると必要とされるリーダー像も変わり、より穏やかで世慣れしたリーダーを求めるようになる。
だがもしあなたがすぐれたものごとをつくりたいと考え、競争相手より迅速にやってやろうと思っているのなら、行動志向であることは重要だ。決断もできなければいけない。悪い決断を下すことを過剰に恐れることはない。それを早めに認め、取り下げることさえできればいい。