「対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~」第2巻 江島絵理先生
メディアファクトリーさんのMFコミックスフラッパーシリーズより刊行です。
さて、ゲーム禁止の全寮制お嬢様学校に入学し、ゲームと無縁のお嬢様生活を送るはずだった綾。
ですがそこで、「白百合さま」と呼ばれる超美少女と出会い、その彼女が自分と同じ格闘ゲーム好きであることを知ってしまい、何やかんやとゲーム熱が再燃。
二人は格闘ゲーム仲間として、ライバルとして友人になるのですが、そもそもこの学校、ゲームなんて持ち込み禁止なわけで……?
白百合さまこと美緒と仲良くなった綾ですが、共通の趣味を持つ友人ができたからと言ってそのまま二人趣味に没頭することはできません。
二人が暮らす寮には、なかなか厳しい決まりが用意されているのです。
その日もそんな厳しいルールの一つ、夜点呼が行われました。
夜点呼は二人の寮務委員、犬井夕と、各階を取り仕切る階長が音頭を取って執行されます。
綾の部屋のある4階を取り仕切る4階の階長は、一ノ瀬珠樹。
彼女の号令で始まるそれは、物凄くピリピリした空気に支配されています。
返事の声が小さければ返事をし直させたり、着衣に多少のだらしなさがあればキッチリしろと指摘されたり。
何か良くない部分があれば界全体の連帯責任で罰当番になるから気をつけろ、と念を押され……
さすがの綾もこの夜点呼には緊張しきり。
さらに友人から、抜き打ちの持ち物検査なんて言うのもあるらしい、引き出しやクローゼットの仲間で確認されてしまうようだ、と聞かされると……
表面上は平静を装いつつ、その胸の中は穏やかではいられません!
隠し持っているアーケードコントローラーが見つかりでもしたら、アウトですから……!
と、そんな時、美緒が綾のもとにやってきました。
その美少女ぶりから、現れるだけでざわめいてしまう美緒。
そんな美緒を、名前で気さくに呼ぶ綾に、またまた周囲の生徒たちはざわめくのです。
そう言えば前も綾は「白百合さま」の熱視線を一身に浴びていた、もしかしてあの二人は尊い関係なのではないか……!?
まさか二人を繋ぐ関係がゲームだなどとは夢にも思わない綾の友人も、本当は二人の起案系が気になっていたものの、そう言うのを聞くのは無神経よね、気にしつつも遠慮していたり……
周囲にあれこれ囁かれているのが聞こえてしまう二人、とりあえず場所を変えようとそそくさとその場を立ち去って行くのでした!
美緒がわざわざ綾の元までやって来たのは、もちろん対戦がしたいから。
対戦のしたさのあまり禁断症状めいたものが出てきている美緒なのですが、なかなかどうしてすぐに対戦しようとはいきません。
前のように外出届を出して出かければ不可能ではありませんが、平日はそんな時間も場所もないわけで。
週末まで我慢するしかない……と、現実的な状況を並べる彩菜のですが、対する美緒は
ガチ泣きしているではありませんか!!「あの時」も思ったけど自分の思い通りにならないからって泣くことはないでしょ、とツッコむ綾なのですが、美緒によれば初めて会った時の「あの時」は、必死だったんだ、といいます。
彼女の人生初の「オフライン対戦」のチャンスだったから。
そして美緒は涙をぬぐってこう続けます。
ていうかふざけてると思いませんか?
格闘ゲームなんかやってる「深月綾さん(やばい女)」と凄い確率で知り合ったいま、週末まで対戦できないなんて……
人生の浪費もいいとこですよ!
なんだか物凄くスケールの大きいような小さいようなことを言い出した美緒。
そんな美緒に、綾顔を背けながら言いました。
あのさぁ美緒、正直わかる。
論理的に考えて、今格ゲーやらないは「ない」!
その次の日から、二人の活動は始まりました。
ここ数日降り続ける雨にもめげず、学校中を探し回る二人。
ふだん使われていないもの起きなんかがあるんじゃないかと、バラの棘にもめげずに庭をかき分けてみても発見できず、本校舎屋上前スペースは電源も取れるけど生徒会室が近いし逃げ場がないからリスクが大きい……
そもそも夕食の時間がある以上、学校では腰を落ち着けて対戦することそのものが難しそうです。
となるとやはり、寮で可能性を探すしかなさそう。
とはいえ、この人の多い寮で安心して対戦できるところなどあるのでしょうか?
頭を悩ませる綾なのですが、早くもその日のうちに美緒から見つけたと言う報せが入ります!
早速その場に向かってみますと……何と言うことでしょう、その部屋は綾の部屋のある4階にあったのです!
そこは鍵が壊れているため、空き部屋となっていたのです!!
消灯時間が過ぎた後、息をひそめて部屋の外に出る綾。
出歩くことを禁止されている時間帯の「廊下」……
下手をすると退学なんてこともあるかもしれない「圧」が感じられます。
ですが、途中までならば「トイレに行きたかった」で誤魔化せるはず。
問題は、トイレを通り過ぎてから401にたどり着くまでのわずかな距離です!
ごめん美緒、リスクとリターン合わなすぎるわ。
……そう心の中で謝りながらも、美緒の足は何故か前に出ていました。
心とは裏腹に踏み出した脚。
それを見て、綾の口からは自然と笑い声が漏れていました。
もう一度、あの頃みたいな「夢中になれる何か」を見つけること、それだけが人生の目標になっていた。
あんたと出会ってそれを見つけた!
あの時、完全に私も同じこと考えてたんだ。
この状況で次の土日まで大人しくしてるなんてのは「人生の浪費」でしかない。
前ステする以外の「択」はない。
だって私も、私も早く、早くあんたと対戦がしたい……!!
リスクとリターンが見合わないはずの道を、歩き切った綾。
気合とともに401の扉を開けると、そこには
物凄い殺気を滾らせ、アーケードコントローラーをもう取り出そうとしている美緒が待っていました!!やりましょう、早く……!!
二人の間には、その言葉だけで十分です。
長くて短いヨルがこうして始まった……かと思われた、その時でした。
あなた達、ここで何しているの?そう言って、寮務委員の犬井夕が部屋に入ってきてしまったのは!!!
と言うわけで、早くも秘密の逢引きが見られてしまった今巻。
寮務委員に見つかってし舞うと言うのは、考え得る最悪のシチュエーションです。
ですが、まだ完全に詰んだわけではない、はず。
何故ならここはお嬢様学校、普通のお嬢様ならば格闘ゲームなどやるはずがなく、格闘ゲームをやらないならばアーケードコントローラーが何をするためのものかすらよくわからない、はず!!
二人はこの窮地から逃れることができるのでしょうか……!?
まあここで退学になってしまうとお話が終わってしまいますから、このピンチから逃れることはできるわけです。
ですが、どう切り抜けるかと言いますと……これまた予想外の方法でこのピンチから逃れるのです!!
一体どうやって切り抜けるのか……ぜひとも皆様の目でご確認ください!!
そんな気になる展開を迎える本作ですが、メイン(?)である格闘ゲーム部分も忘れてはいけません!
「π4」と言うオリジナル格ゲーをプレイする本作なのですが、ストリートファイター4をベースに考えられているゲームだけに、格闘ゲーマー、さらにスト4プレイヤーにはかなり刺さるあれこれがたっぷりと収録!!
さらに今巻では、あるプレイヤーが伸び悩んでいるところを乗り越えると言う展開が用意されていまして、そのあたりの展開はリアルの格ゲーで伸び悩んでいる方にぴったりはまる内容……な気がします!
そして各話の間に挟まれる解説「対ありメモ」もかなり濃いことが書いてありますので、是非ともこちらにもしっかり目を通すことをお勧めします……!!
愛でたくアニメ化も決定した本作、いろいろな面でこれからの展開から目が離せませんね!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
コメント