本日紹介いたしますのはこちら。
「ビバリウムで朝食を」第1巻 道満晴明先生
秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。
さて、ド下ネタとなんだかいい話を高レベルで同居させる稀有なストーリーテラーである道満先生の最新作となる本作。
今回の作品はショートストーリー集ではなく、一本のしっかりした軸があるストーリー物のようですが……?
人気のない廃車置き場の片隅にあるプレハブ小屋。
そこに小学6年生の女子三人組がなにやら話しておりました。
彼女たちの名はヨキ、ミコト、キクリ。
どうやら夏休みの自由課題で、この街に伝わる七不思議を調査しようとしているようですが……
どうにも不思議が6つしか見つからないのです。
ミコトは6つでもいいじゃないかと言うのですが、ヨキは七不思議なんだから七つじゃなきゃダメだとこだわりを見せます。
キクリはと言いますと、六不思議の中の一つ「ノッポマン」という不思議が気になるようです。
ノッポマンは一番新しいうわさで、なんでも子供を攫って路地裏に消えていく謎の大男……とのこと。
実際行方不明になった子供はいたようで、そこからノッポマンのうわさが出たのでしょう。
ノッポマンはいいとしまして、問題は七つ目の七不思議をどうするか。
ああだこうだと考えるのですが……真夏のプレハブ小屋はじっくり考え事をするには向きません。
三人は暑さにギブアップし、また明日集まって会議をしよう、と家に帰るのでした。
ヨキは家に帰る途中、薄暗い路地に気になるものを見つけました。
全身を大きな真っ白な布でくるんだ、まるで幽霊のような何か。
その何かは予期の方に近寄ってくると、おもむろに何かを渡してきました。
それは……鍵です。
幽霊はそれをヨキに渡すと、フワフワとどこかに飛んで消えてしまうのでした。
家に帰ると、お母さんがヨキに今日は何かあったかと尋ねてきました。
ヨキは素直にあの路地で幽霊を見た、と報告。
するとお母さん、何か物憂げな表情を浮かべたかと思うと……しばらくあの辺を通っちゃだめだからね、とヨキに忠告。
市役所に連絡しなきゃ、とつぶやいた後……さらにこう尋ねるのです。
触ったり、何か受け取ったりしてないわよね、と。
ヨキはなんのてらいもなく、うん、と答えるのでした。
……ヨキは少し昔のことを思い出していました。
降りしきる雪の中、騒然とする町。
氷が張る湖の中から、ある少女の遺体が見つかったのです。
その少女の遺体を目の当たりにする、お母さんとヨキ。
それは行方不明になっていたヨキの友人、ノドカの遺体。
ヨキは呆然としながら、ノドカの名前を呼ぶことしかできなかったのでした。
ヨキは確信しています。
あれは絶対、ノドカちゃんのオバケだ。
そしてこの鍵はきっとノドカちゃんからのメッセージ。
見つけたかも、七不思議の七つ目。
七不思議の七つ目を見つけたかもしれないヨキ。
さっそくあのオバケに「Q」と仮名をつけ、その不思議の調査をはじめようとするのですが……
そんな矢先に出会ってしまうのです。
最新の七不思議のひとつ……ノッポマンに!!
と言うわけで、七不思議の調査をする少女たちのお話が描かれる本作。
ですがその裏には友人の死の裏にあるかもしれないメッセージの調査や、謎の男ノッポマンを巡る物語などなど、単純なジュブナイルでは終わりそうもない物語となっております。
さらに気になるのは、ヨキたちの暮らす世界は、我々のよく知る世界とは似て非なるものであるという事。
幽霊が出たことを市役所に相談すると言うのも冗談の類ではなく、幽霊がいるのは当たり前で、役所に相談して何らかの対処を行うのも当たり前なのです。
そんな世界でも非常識な存在であるノッポマンと、彼の持つ「ないしょ道具」は、ヨキたちにどんな影響を与えるのでしょうか?
ヨキのお母さんの意味ありげな表情も今後の展開の伏線なのでしょうし、この後も様々なキャラクターが登場して物語に絡んでいくなど、本作も道満先生らしい引き込まれるストーリーになっているようです!!
某青いネコ型ロボット漫画風味の設定もこれまた道満先生らしく、気になるストーリーに加え、先生らしい独特な味わい深いユーモアもたっぷりですよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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