お久しぶりです、tkmです。もう卒業してしまいましたが、昨年に続き社会人学生AdC '24の5日目の記事を書いていきたいと思います。今回は「退職して米国で博士課程に進むことのすすめ」と「卒業後の米国での就労ビザ」についてお話しします。これまで散々このブログに書いてきたので正直ネタ切れ感はありますが、今年の9月にPhDを無事取得出来たのもあり、今回のAdvent Calendarをざっと見た限りでは、退職して留学し博士課程に進む人の記事がなさそうだったので、最近知ったビザ関連の情報を書いていこうと思います。ビザ周りはちょっとセンシティブなため情報の入手が難しいと感じており、とはいうものの誰かが書いていかないと知見が溜まらないので調べつつ書きました。ただし鵜呑みにはしないで最終的には移民弁護士と相談して決めて下さい。
私の留学模様については過去の記事をどうぞ
- Ph.D.編入が決まったので入学からあったことを時系列で書いてみる - tkm2261's blog
- 米国大学院でCS修士について書いてみる - tkm2261's blog
- コネなし論文なし英語苦手なアラサーのおっさんだけど米国CS大学院入学に頑張ったので全てを晒す ー はじめに - - tkm2261's blog
- 【社会人学生AdC '22】日米研究室の違い: 日本の研究室で論文量産するの無理じゃね? - tkm2261's blog
また、来年の1/13(月・祝)に海外大学院留学説明会2024冬「社会人からの留学」というセッションをオーガナイズします。今回の記事や質問がある方はぜひお越しください。YouTube Liveでの配信を予定しています!
#海外大学院留学説明会2024冬「社会人からの留学」の詳細がアナウンスされました!開催は来年1/13(月・祝)です。退職海外D進を決行した多様な経験者(@AsumiWaffle @nagataka @ochugn)から話を聞けるまたとない機会です!成人が門出を祝う日に留学を志すキャリア迷子達も集って盛り上がりましょう🎍 https://t.co/I60XvkjpHv pic.twitter.com/KdRGlDaSYp
— Takami Sato (@tkm2261) 2024年11月18日
退職米国D進のすゝめ
今回、長々と退職米国D進を勧めるつもりはありません。この記事に辿り着いた方は、自分が退職米国D進するべき理由・するべきでない理由を探していて辿り着いたと思います。社会人にとって留学に限らず退職D進を諦める理由は容易に見つけることができます。というかマトモな思考回路では退職して博士を取ろうとはならないでしょう。そんな中ある程度の狂気が必要な退職D進にさらに留学要素も付け足した狂気の沙汰である退職米国D進について、少しでもするべきでない理由を見つける手助けになればと思います。
1. 英語はマジでどうにかなる。というか現地に行かないとどうにもならない
留学を考える人は、やはり人生で英語を運用できるようになりたいというのが理由のひとつの方が多いと思います。自分はTOEIC 445点から決意して留学当初は英語で意思疎通も不可能なレベルでしたが、何とかなりました。というか死なないために何とかなります。
PhD留学では研究ミーティングで自分の考えを伝える必要があるため、修士と比べて圧倒的に早く英語に慣れます。自分の場合、自分がホストするミーティングが週3であり、これを1年やり終えたあとは何か大体こなせるようになりました。あと英語で生活すると英語という言語のリズムが体にインストールされるので、論文の執筆も英語のリズムで書くことができるようになります。(逆に日本語のリズムでの論文用の日本語を直訳するとかなり不自然というか何かやましいことを隠しているみたいな文になるので注意が必要です。)
これを読んでいる大多数は英語がキツいと思っていると想定していますが、皆さん中高大と10年とか英語を学んでも話せるようになっていないわけで、このまま日本にいても劇的改善することは基本ないです。結局見切り発車で飛び込むしかないです。
それに有名ラボに入りたいとかだと話は違うんですが、こちらの教授は元留学生が多く、英語がヤバい同級生が意外とすぐ英語が話せるようになっているのを多く目の当たりにしています。そのため我々が思うより能力や人柄重視です。さらに米国のPhDは学部卒業から直接出願できる関係上、社会人経験がある場合は大体周りよりはスキル面は強いはずです。日本人は従順でハードワークすると見られているので、学生のマネジメントに不安のある若手の先生には英語が多少アレでも刺さる可能性があります。遠慮なく飛び込んで行きましょう。
2. 教授は知っている人しか採らない。今すぐTwitterで「PhD position」とググろう
米国の場合は一部のラボローテのある所を除いて、各教授がPhD学生を取るかどうかを決めます。最低5年はラボにいて給料も払うわけで、遠くの経歴が華々しい人より近くで計算できるよく働く学生を取る傾向があります。そのため出願の前に教授とある程度話がついていないと基本的に落ちます。行きたいラボがある場合は、コネを総動員してどんな手段を使ってもその教授と連絡を取ってください。
コネもなく行きたいラボも定まっていない場合は、Twitterで「PhD position」とググるのをおすすめします。
https://x.com/search?q=PhD%20position&src=typed_query
米国の場合、学生に給料を払うため予算の関係上そもそも採らない年があります。その点、Twitterで募集している教授は確実に枠があるので良いです。あとTwitterで探している教授は若手が多く、論文をアクティブに出版できるのが良いです。指導教員が大御所vs若手は永遠のテーマですが、大御所の良いところは人脈づくりで、インターンや卒業後にスタートアップをやりたい場合は良いです。ただ英語が駄目だとこれを活用しきれないので、個人的には論文量産できる若手が良いと思います。その点でもTwitterで探すのはおすすめです。
3. 米国PhDの給料は悪くはない。ただ配偶者を連れて行くとキツイかも
PhDの今の給料は大体月$3k~3.5kとかもらえます。これに夏のインターンをすると会社によっては年収で1000万円は超えたりします(CSに限った話かもですが)。散々物価が高いと言われますが、食料輸出国のため食材は日本と同程度です。高いのは外食と家賃で、外食は控えればいいし、家賃は大学寮でルームシェアすれば$1k以下で抑えられると思います。日本にいるときより下手すると貯金ができます。
ただし配偶者を連れて行くと話が違っていて、家賃はルームシェアできないため基本的に倍になり、さらに配偶者の保険は別途払う必要があり、基本的に毎月足が出ると思います。インターンすれば大丈夫と思いますが、食費とか通信費もあってかつ配偶者はビザ的に働けないため、留学中の家計については予めよく話し合っておいた方が良いです。
卒業後の米国就労ビザの話
免責:自分が色々やるうちに知った知識を適当に書きます。間違ったことが書いてある可能性があります。指摘を頂いた場合は随時更新予定ですが、最終的には各自自己責任で移民弁護士と話し合って決めてください。
ようやく本題です。留学の主目的は研究なものの、米国で学位を取ることの大きい利点は米国で就労できるビザが手に入ることです。
以前の記事で「米国の修士は就労ビザを金で買う制度」といったりもしましたが、それ目的の留学もかなり多いというかとても一般的です。留学以外で日本人が米国で働けるビザを取得するのは現状かなり難しいです。既に世界的な業績があるか、毎年のグリーンカード抽選で当選ぐらいしか難しいです。これを難しくしているのがホワイトカラーで一番一般的な就労ビザである特殊技能職ビザ(H-1Bビザ)に企業スポンサー(雇用主)が必要な上に抽選があり、日本人にオファー出しても米国で働ける保証がないので、基本的に企業はオファーを出さないです。これをクリアする最も簡単な方法が留学して米国の機関で学位を取ることです。米国の大学はこれを利用して良い商売してるなーと思います。
非移民ビザと移民ビザ(グリーンカード)
グリーンカード抽選などを除いて、米国で合法的に暮らしていくためには、非移民ビザ(J-1, F-1, H1-B, O-1, L‐1など)から始まり移民ビザ(グリーンカード)で永住権を目指し、目指したければ米国籍を目指すという流れになります。グリーンカード自体には非移民ビザのような種類はないものの、審査の優先度からEB-1, EB-2, EB-3, ...と窓口がカテゴライズされています。下のカテゴリだと数年かかったり、国別の待ち行列のため中印の人は10年とかかかったりします。その間は何とか非移民ビザで食いつなぎグリーンカードを目指すことになります。それでも駄目な場合は比較的就労ビザの取りやすいカナダに移動になったり、あっけなくレイオフされることになります。非移民ビザの場合は仕事がない場合は60日とかで米国を退去する必要があり、この失業者は雇用統計にカウントされません。なんと美しい国米国という感じですね。
日本人のPhD留学生の場合は、そこまで悪い状況ではなくグリーンカードは下手したら在学中に取れるし、就職後もPhD持っていれば比較的すぐ雇用主がスポンサーしてくれるはずです。(会社によっては学部生の場合、昇進するまでとか1年経たないとスポンサーしないこともある。)ただしグリーンカードのプロセスは自分で主体的に動く必要があり、下手すると貴重な非移民ビザの期間を使い果たし帰国を余儀なくされる場合もあります。今回はそんな人を減らすために体験談を交えて書いて起きます。ただ簡単にまとめると、
日本人のPhD留学生の場合は、論文が出始めて被引用数が二桁行ったタイミングぐらいでEB-2 NIWを出して在学中にグリーンカード取るのがよい。
移民ビザ(グリーンカード)は取ったらずっと米国に税務申告(Tax return)しないと行けないとかあるものの、先ずは米国で生き残ることを優先したほうが良いです。
特別編:ビザ無し訪問(w/ ESTA)
日本人の利点はビザ無しで米国を訪問出来ることです。ESTAに登録すれば90日以下の短期商用・観光といった一時的な訪問の場合ビザ無しで米国に来ることが出来ます。これにはトレーニングなども含まれ企業の出張でも使われます。
ESTAで夏季3ヶ月間(90日以内)に米国大のラボに無償インターン的に滞在してよいのか? 完全に安全側に倒した回答では交流訪問者ビザ(J-1)を取るべきということになりますが、インターンと言いつつちょくちょく大学の先生とミーティングしたりゼミに参加するだけならESTAで基本問題ないと思われます。このHarvardサマースクールの記事にもありますが「Only non-credit study is permissible with a B class visa or ESTA visa waiver. 」とあり単位を取得しない活動をする分にはESTAで問題ないはずです。あとJ-1ビザはフルタイム雇用(週32時間以上)が条件となっており、普通の訪問ではJ-1ビザに該当しないですし、フルタイムで働くレベルのプロジェクトがあるならしっかりJ-1ビザをとって給料も要求した方が良いです。一応、滞在中は観光も一杯して写真も残してフルタイムじゃないよ観光の一環だよと後々言い訳が聞くようにしておくと良いかもしれません。入国審査でもインターンなど労働を疑われるワードは避けてPhDを志望しているラボの見学と指導教員候補の人柄を知るための訪問など実態に則した表現にしたほうが良いです。ただし絶対の保証はないので最終決定は自分の責任で実施してください。
非移民ビザ:学生ビザ(F-1)
米国に留学で来た場合は基本このビザからスタートします。ビザ資格の維持のために毎学期12単位の履修が必須になります。F-1ビザは後述するCPTやOPTの特別な場合を除き学外での就労が認められないビザです。安価な労働力が学生の名目で流入するのを防いでいるわけですね。日本人の場合は基本的に5年のビザが貰えると思います。非移民ビザの名の通り比較的自由に帰国出来ますが、学業専念のために大学の許可が必要でTravel SignatureというのをI-20にもらう必要があります。ただしTravel Signatureは1年有効なため基本的に帰りたければいつでも帰国できます。更新もF-1ビザの場合はI-20が有効な内は簡単で、前回はコロナもあったので面接なし郵送のみで更新出来ました。
あと多くの方が勘違いされている事ですが、ビザが切れているイコール不法滞在ではないです。ビザはあくまで入国資格で滞在許可はまた話が違います。F−1ビザの場合は所属先のI-20が有効な内は滞在が許可されています。ただし再入国はビザを更新しないと出来ないため、米国から出ることが事実上出来ない中国人留学生は山のようにいます。
F-1 CPTとOPT:CPTとOPTはどちらもF-1ビザのステータスのまま学外就労するための制度です。最後のTがTrainingを表す用に学業の一環としてIndustry経験を積むための制度です。
CPTは在学中のみ使えて、基本的に留学生はこれを使ってインターンをします。ただしFull-time(週40時間)は夏季のみ許可されており、Full-time CPTはPhD課程通算で12ヶ月以内に制限されています。Part-time(週20時間)は無制限に夏季以外も許可されているのですが、指導教員にその間の授業料負担を求められたりするので(普段は指導教員が払っているが、大学で研究せずにインターンするのならば授業料払ってサポートする義理がない)、あくまで本分は学生ということになります。CPTは授業の一環ということでインターン用の授業を履修した上で働きます。そのため毎回Summer sessionに登録する必要があり$500とかかかったりします。
OPTは卒業後にも使える就労制度で、米国で学位を取ると基本的に1年間、STEM(理系)課程の場合は追加で2年間(STEM Extension)の合計3年間米国で働ける制度です。在学中もこれを行使するPre OPTという制度がありますがありますが使っている人を見てないので割愛します。基本的に貴重な非移民ビザの期間は卒業後に使いたい人が多いのだと思います。OPTは専攻に関係あるものであれば副業も含めて何してもよく企業スポンサーもいらないため非移民ビザの中では破格に制限が緩く期間が限られている以外は最強です。そのためオファーがあれば在学中に先行してH1-Bビザに応募できるのですが、直前で別オファーに移りたい時などは企業に紐づくH1-Bにすると面倒なときがあるので最初はOPTでスタートするのが良い場合があります。ただしH1-Bの抽選機会を一回逃すことになるので難しいところではあります。
OPT Premium Processing: CPTの処理は学内で完結するため数週間で終わる一方、OPTは米国移民局USCISの審査が入るため時間がかかります。この工程をお金で解決するサービスがPremium Processing(通称PP)であり大体$2kを払うと15日に短縮してくれます。PPを払わない場合、現状はここにある通り4ヶ月とかかかったりするので、最終学期に就活していると基本間に合いません。申請に企業スポンサーはいらないので見切り発車で早めに出せますが、現状大多数はPPを使います。$2kは安くないもののPPは就職する雇用主が負担するのは米国で結構一般的なため就職先に問い合わせる事を強くお勧めします。私の場合はRelocation feeの一貫として会社が負担してくれました。
非移民ビザ:交流訪問者ビザ(J-1)
J-1ビザは基本的にインターン用のビザと考えて良いです。企業でインターンする場合やPhDの前とかに大学のラボでインターンする場合に使います。上記のとおり給料が発生せずミーティングしたりゼミに参加しつつ数ヶ月訪問する場合などはESTAで問題ないはずですが、給料をもらう場合や90日を超えるフルタイム労働の場合はJ-1ビザが必須です。インターンが決まった段階で受け入れ先に聞いてみましょう。
非移民ビザ:卓越能力者ビザ(O-1)
名前が表すとおり国際的な業績が必要なものの後述するH1-Bに比べて自由度が高いビザになります。企業スポンサーは必要なものの副業も制度上可能であり延長も容易です。ただH1-Bと異なり配偶者の就労が制限される欠点はあります。申請の書類は後述するEB-1グリーンカードと同じらしく、時間のかかるグリーンカードのつなぎとしてこれに出すのも良いです。ただO-1については在学中に数百とかの被引用数や著名な受賞歴があったら考えれば良いと思います。
非移民ビザ:特殊技能職ビザ(H1-B)
日本人の留学生が就職したら学部修士博士を問わずまず応募するのがこのビザになると思います。企業スポンサーが必要で副業は出来なかったりするのですが一社で働くには十分なビザです。そのためH1-Bビザの取得がF−1 OPTで働く人の当面の目標になることが多いです。あとH1-Bでは配偶者の米国での労働が出来るのも大きいです(O-1は不可)。さらに一度取ってしまえば転職も出来ます。最大の欠点はH1-B capと呼ばれる抽選をくぐり抜けないとどれだけ優秀でもビザが降りない点です。毎年3月に抽選の登録が会社経由であり、年に1〜3回の抽選が実施されます。昔は突破率が7−8割(修士博士の場合はさらに優遇アリ)でOPTの3年間があれば大体大丈夫と言われてましたが最近の出願者の多さで3年で取れないケースも見られます。その場合カナダといった周辺国に異動できれば良い方で普通にレイオフもありえます。楽観視せずにグリーンカードの手続きも移民の意思があるなら進めた方が良いです。H1-Bについても基本的に6年有効なのでそれ以上米国に滞在する場合はどのみちグリーンカードやO-1ビザといった別のビザの考慮が必要になります。
タレコミ: 病院や大学といった非営利団体の場合はH1-B capがなく、かなりの確率でOPTからそのままH1-Bに移行できるとのことです。
非移民ビザ:駐在系ビザ(E-1やL-1など)
日本の企業の駐在や関係の深い会社で働けるビザですがPhD留学で関係ないので省きます。配偶者が働けるためE-1ビザにしてもらったという話は聞いたことがあります。
移民ビザ(グリーンカード)
ここからは永住権つまりグリーンカードの話となります。上記でビザと滞在許可は違うと言いった通りビザとグリーンカードは違うのですが基本的に一体なので一緒に議論します。グリーンカードを取る最大の利点はビザで悩む必要がなくなることです。ビザサポートは企業にも負担であり1年働かないとビザサポートしないよとかそもそもグリーンカードないと採用しないよとかあります。いわゆるビッグテック企業は能力重視でこのあたりを比較的厭わないのですが数年前の好景気ならまだしも最近の景気の冷え込みでは早めにグリーンカードを取っておくと米国での就活や安心して滞在する上では重要です。
グリーンカードは一度取ってしまえば優劣はないのですが、雇用ベースのグリーンカードでは審査の優先順位の上からEB-1, EB-2, EB-3, EB-4, EB-5とあり、主にEB-3までの3つのカテゴリがターゲットになるとおもいます。EB-4やEB-5は大多数に関係ないので省きます。
このカテゴリ分けで重要なのが企業スポンサーの必要有無と永続労働証明書 (Permanent labor certification) 、通称PERMの必要有無です。これをどの程度の期間で出して貰えるかは会社により取得する場合は数年を覚悟する必要があります。
- EB-1は企業スポンサーが必要な場合もあるがPERMは必要なく1年未満で取れる可能性が大です。その代わり国際的に顕著な業績が必要になる。
- EB-2は基本的には企業スポンサーもPERMも必要なものの、国益免除(NIW)という制度に該当すれば免除できて在学中でも程々の業績があれば日本人は2年弱とかで取得できる。
- EB-3は企業スポンサーもPERMも必要。ただしPhD持っていればEB-2に該当するので出すことはないかも。
そのため繰り返しになりますが、
日本人のPhD留学生の場合は、論文が出始めて被引用数が二桁行ったタイミングぐらいでEB-2 NIWを出して在学中にグリーンカード取るのがよいです。
しかも引用数があっても卒業から時間がたっているとNIWに該当しなくなるらしく、NIWなしのEB-2だと、PERMの取得で1−2年、ビザの審査で2年とかかかってしまうのでH1-Bの6年でも結構ギリギリになります。そのため業績が温かい内にEB-2 NIWの手続き進めると良いです。
EB-1 (Employment-Based Immigration: First Preference)
EB-1はExtraordinary ability(EB-1A)、Outstanding professors and researchers(EB-1B)およびMultinational managers and executives(EB-1C)のどれかに該当する、ざっくりいうと業績がすごい人が応募出来るビザです。
EB-1Aの場合は企業スポンサーもいらないためアクセス出来る移民弁護士に聞いて該当するかどうか聞いて下さい。EB-1BとEB-1Cは企業スポンサーが必要なので基本的に会社の契約している移民弁護士に問い合わせてEB-1で行けるかを聞くとよいです。私の場合はアンケートに答えると弁護士から連絡が来てEB-1Bで行けそうだから行きましょうみたいな感じでした。ただしEB-1の場合は早くグリーンカードが貰える反面、推薦状依頼の手間や書類仕事が増えるのでOPTで十分な期間がある場合はEB-2 NIWで申請した方が楽な気がしています。というかEB-1に該当する時点でO-1ビザも行ける人材なので米国での滞在は正直どうにでもなると思います。PhD課程でしっかり業績積んで頑張りましたね、という感じです。
EB-2 (Employment-Based Immigration: Second Preference)
EB-2はPhDといった上級学位がある人や優れた能力の証明が出来る人が応募できるカテゴリです。審査の待ち時間が国毎なため中国とインド人だけは話が違うのですが、それ以外の人は条件を満たすと2年未満で取れたりします。特に国益免除(NIW)が通れば企業スポンサーもPERMも必要ないため弁護士費用の$2k−3kの自己負担(ルームメイト談)は必要なものの、PhD在学中に取得が可能です。私のイラン人のルームメイトは在学中にこれでグリーンカードを取得していました。
PhD留学なら論文書いて被引用が2桁あればEB2 NIWで2年弱で大体行けるはず。中印だけは話が違うがワイのルームメイトのイラン人も在学中にこれで取れてた。イラン人やぞ? https://t.co/LqOkrfpl84
— Takami Sato (@tkm2261) 2024年11月12日
国益免除(NIW)には自己引用を除いた被引用数が数十が必要と言われており、ただし分野に依るので詳しくは移民弁護士と相談した方がよいです。在学中にグリーンカードが取れると就活なので凄い幅が広がります。ビッグテックの場合はグリーンカードの有無で給料は変わらない問われていますが、その他では就職の難易度に直結するので早めのNIWでグリーンカードを取っておくと良いです。就職後であってもEB-2 NIWは最も現実的なグリーンカードの手段である事が多いです。就職後に出す利点は弁護士費用を会社が負担してくれる可能性が高いことです。ただし、聞いた話だと卒業して時間が経つと被引用数がある程度あっても今現在の能力と認められずNIWが出せないケースもあるとのことなので申請するなら早めが良いです。
タレコミ: NIWの場合引用数二桁というよりかはself citationを除いた引用があり、かつトピックがある程度独立している研究論文が最低3本あること、また最低2人程度の教授から推薦状をもらえること、博士取得後の就職先にある程度算段がついていて、proposed endeavorに書けることが大事とのことです。
タレコミ: 弁護士費用の$2k−3kじゃ済まない。I-140の申請費用込で100万円ぐらいはかかる。
EB-3 (Employment-Based Immigration: Third Preference)
ここまで来ると米国のPhD関係ない普通の雇用ベースのグリーンカードになるのでよく知らないので各自調べて進めるとよいです。
グリーンカードにおけるPremium Processing
OPT同様にEBにおいてもPremium Processingで$2.5kぐらい払うと審査を14日以内と劇的に早くすることができます。ただしPPで早く出来るのはI-140の審査が始まったあとの話であり、EB-1でもその後の処理で数ヶ月はかかり、EB-2ではさらにI-140提出前のPERM取得に数年、I-140の審査が始まるまでの待ちで中国人やインド人の場合は10年待ちとかになります。日本人の場合(というかその他の国)は大体2年はかからないようです。待ち時間の目安はこういったサイトで確認できます。中国、インド、フィリピン、メキシコ以外の国は大体同じ様な扱いみたいです。
番外編: グリーンカード抽選 (Diversity Immigrant Visa Program)
名前を知っている人は多いと思いますが、米国への移民が少ない日本人には多様性プログラム(DV)による移民、通称グリーンカード抽選の権利があります。顔写真や簡単な情報だけで応募出来るので出している人は多いと思います。採択率は極小ながら受かってしまえば諸々の面倒なステップを飛ばしてグリーンカードが取れるので、とりあえず出すと良いです例年10−11月に応募して5−6月に結果がわかる仕組みです。デメリットはないのでとりあえず出すと良いと思います。
最後に
米国ではペーペーのエンジニアでも日本のプロ野球一軍選手レベルの給料がもらえる恵まれた環境です。その反面外国人にとっては就労できるビザを取得し維持する努力が必要になります。米国との関係がよい日本人の場合は恵まれている面も多い反面、日本人移民が少なくビザや移民の情報を見つけるのが中々難しい状況です。多分多くの方が今回EB-2 NIWなんて初めて聞いたと思います。当たり前ですが知らないと制度は使えません。中印の人はEB-2 NIWであっても数年から数十年かかります。これは単純に米国で働きたい人が山のようにいるからです。この給料格差だと今後米国で働きたい日本人は確実に増加していくと思われます。まだ日本人志望者が少ない内に、米国でPhDを取ろう&働こうと行動を起こしてみると良いと思います。この記事が少しでも参考になったら幸いです。
Appendix: GPT-4oによるコメント
Q: この記事の中に米国ビザについて事実誤認はありましたか?
A: 記事の内容を確認しましたが、全体的に米国のビザ制度についての説明は正確であるように見受けられます。ただし、ビザや移民の手続きは非常に複雑で、法律や政策が頻繁に変更される可能性があります。そのため、最新の情報を得るために、具体的なケースについては移民弁護士や専門家に相談することを強くお勧めします。
以下にいくつかのポイントを挙げますが、これらは一般的な情報に基づくもので、必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありません。
- H-1Bビザの抽選: 記事では、H-1Bビザの抽選について言及されています。実際には、抽選の当選率は毎年異なり、最近では申請者数が増加しているため、当選率が低下しています。
- EB-2 NIWの条件: EB-2 NIW(国益免除)は、特定の条件を満たす必要があります。被引用数は一つの指標ですが、他にも様々な要素が考慮されます。移民弁護士と相談することが重要です。
- OPTとCPTの利用: OPTとCPTに関する情報は正確に記載されていますが、具体的な利用条件や手続きは学校やプログラムによって異なる場合があります。
- ビザの更新と滞在許可: ビザが切れても、I-20が有効であれば滞在が許可されるという点は正しいですが、再入国にはビザの更新が必要です。
ビザや移民に関する法律は複雑で、個々の状況によって異なる場合がありますので、専門家の助言を求めることをお勧めします。