イー‐ティー‐ダブリュー‐エス【ETWS】
ETWS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 00:44 UTC 版)
「セルブロードキャスト」の記事における「ETWS」の解説
日本のNTTドコモがCBS方式で開発した「エリアメール」の技術をベースに策定された。最低限の情報に限った第1通知(Primary Notification)とそれを補足する第2通知(Secondary Notification)の2段構成にし、第1報を理論上最短約4秒で配信する要求条件を定めていることが特徴。 CBSでは無線基地局から端末への送信にCTCHという専用のチャネルを使うが、LTE向けETWSでは共通のチャネルでの送信に改良された。また、CBCではページングチャネル(PCH)読み込み→報知チャネル(BCCH)読み込み→CTCH読み込みの3段階だったが、LTE向けETWSではページングチャネル→共通チャネルと短縮された。更に、CBSのように待受中だけでなく、通信中の端末も受信できるようになった(LTE向け・3G向け共通)。 以下、LTE向けETWSについて述べる。伝達順は、CBE→CBC→MME→eNB→端末である。 情報元であるCBE(Cell Broadcast Entry)から情報提供を受け、CBC(Cell Broadcast Center = 同報配信装置)はメッセージ作成と配信先の決定を行う。CBCは作成した災害の種類、メッセージ文、配信するエリアなどの情報、さらに必要時は第1通知(Primary Notification)情報を"Write-Replace Warning Request"という信号にまとめ、MME(Mobility Management Entity = 移動管理装置)に送信する。 情報の主な仕様を以下に示す。 災害の種類 - 「地震」「津波」「地震および津波」「テスト」「その他」の5種。 配信エリアLTE向けETWS - セル単位、TA(Tracking Area = LTEの位置登録エリア)単位、EA(Emergency Area、事業者が任意に設定できるエリア)単位の3通りの設定が可能。TA単位とした場合、ネットワーク処理の負荷が低減され、僅かだが高速化が望める。EAは災害の性質や警報区域の都合に応じて柔軟に設定できる。 3G向けETWS - セル単位のみ。 MMEは該当エリアのeNB(eNodeB = 無線基地局)に"Write-Replace Warning Request"信号を送付する。同時にMMEはCBCに応答を返し、さらにCBCからCBEに応答が返されることでCBEは処理が開始されたことを確認する。 eNBは配信情報を電波にして発信し、そのエリア内にいる端末が受信する。具体的にはまず、ページングチャネルにおいて、ETWSの送信を知らせる"ETWS Indication"というビットを付加したページングメッセージを配信する。この処理は他の処理に優先して行い、繰り返し配信することで、端末の受信率が高まるよう設計された。端末がページングチャネルを確認する周期は、標準規格上、320ms(ミリ秒)、640ms、1.28s(秒)、2.56sのいずれかであり、この時間内に1回は受信のチャンスがある。 次にeNBは、共通チャネルで一定間隔で配信されている報知情報の特定のブロックに、ETWSメッセージをセットして、繰り返し配信する。"SIB10 (System Information Block type 10)"に第1通知(Primary Notification)、"SIB11 (System Information Block type 11)"に第2通知(Secondary Notification)が入る。配信周期は、標準規格上、80ms、160ms、320ms、640ms、1.28s、2.56s、5.12sのいずれか。ただし、MMEから新規に信号を受信した時点で、eNBは前記の周期に拘わらず速やかに配信を始める。 SIB10は災害種別を示すパラメータだけの短い情報のため、1つの配信サイクル内で受信が完了し(セグメンテーションがない)、速やかに端末が動作する。SIB10(第1通知)を受信した端末は、予めの設定により、災害種別パラメータに対応した短い文章のポップアップ表示、鳴動や振動を行う。 SIB11(第2通知)は配信されるメッセージ本文で、最大で9,600オクテットに及ぶやや長い文章を入れられる。文章が長いと、複数の配信サイクルにまたがって受信し(セグメンテーションがある)、デコードを行った後文章を表示するため、若干の処理時間がかかる。 なお、端末は、繰り返し配信される情報を受信する度に、災害種別を示すパラメータを確認して重複表示を防ぐ。 3G向けETWSの場合、ほとんどの仕様はCBSと共通だが、新たにページング信号に災害種別を示すパラメータを設けた。これにより、端末が配信を初めて知るページングチャネル(PCH)読み込みの段階で、予めの端末設定により、災害種別パラメータに対応した短い文章のポップアップ表示、鳴動や振動を行うことが可能となり、CBSよりも時間短縮が図られた。 ETWS対応の端末では、通信キャリアとの契約を解約しても解約済みのSIMカードが挿入されている場合、受信できる場合がある。 近年は家電量販店でSIMフリーの格安端末が売られているが、機種によっては、ETWSに対応していないものもあり、その場合、受信できない。
※この「ETWS」の解説は、「セルブロードキャスト」の解説の一部です。
「ETWS」を含む「セルブロードキャスト」の記事については、「セルブロードキャスト」の概要を参照ください。
- ETWSのページへのリンク