Direct2Dとは? わかりやすく解説

Direct2D

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 02:40 UTC 版)

Direct2Dは、GDI/GDI+およびDirect3Dと相互運用性のある高速かつ高精細な2Dグラフィックスを提供するAPIで、Windows 7Windows Server 2008 R2以降のWindowsに実装されているDirectXの一部である。Direct2D 1.0に関してはWindows VistaWindows Server 2008でもプラットフォーム更新プログラムKB971644を適用することで利用可能である[1]。Windows Vista以降、ハードウェア アクセラレーションが廃止され、Direct3D上でのソフトウェア実装となってしまったGDI、およびWindows XP以前からソフトウェア実装であったGDI+の後継APIとして位置づけられている。

Windows 8およびWindows RTでは、印刷機能やDirect3Dプログラマブルシェーダーとの連携などを強化したDirect2D 1.1が追加実装されている。Windows 8.1ではJPEG YCbCrやDDS圧縮フォーマットに対応したDirect2D 1.2が追加実装されている。また、Windows 10ではグラデーションメッシュ (gradient mesh) などに対応したDirect2D 1.3が追加実装されている。これらの後継プラットフォーム上ではWindows 7までのDirect2D 1.0も引き続き利用可能である。

特徴

次のような特徴を持っている。

  • ネイティブCOM APIである。つまりC++向けインターフェイスが第一に用意される。
  • Direct2D 1.0はDirect3D 10.1上に、Direct2D 1.1はDirect3D 11.1上に、そしてDirect2D 1.2はDirect3D 11.2上に構築されており、それらとの相互運用性(DXGIとの相互運用性)が確保されている。Direct3Dテクスチャへの描画を行なうことも可能である。
  • GDIおよびGDI+との相互運用性も確保されており、Direct2DのレンダーターゲットからHDC (Handle to a Device Context、デバイス コンテキスト) を取り出してGDI/GDI+で描画したり[2]、逆にHDCをDirect2Dの描画先にしたり[3]することが可能である。
  • ハードウェア(グラフィックスカード)がDirect3D 9以上に対応していれば、ハードウェア アクセラレーションが行なわれる(使用不可能であればソフトウェアにて描画されるフォールバックソリューションが提供される)[4]
  • デバイス非依存で高DPI環境にも対応している[5]
  • テキスト(文字列)の描画を行なうには、前述のGDI/GDI+との相互運用を行なうか、DirectWriteと連携することになる。
  • ブラシやパスといった要素はGDI+のAPIをほぼカバーしており、.NET用ベクターグラフィックスAPIであるWPFとも類似性があるが、保持 (retained) モードではなく直接 (immediate) モードの高速描画用途に最適化されている[6]
  • Windows 8/RTでは、WindowsストアアプリでのXAMLによるGUI描画に、Direct2D 1.1による直接描画を合成することができる。
  • Direct2D 1.1では描画内容をプリンターデバイスに出力して印刷することも可能。

Windows 8.1のDirect2D/DirectWriteでは、カラーフォント(カラー絵文字)の描画がサポートされ[7]、Windows 10 Anniversary Updateではさらにサポートが改善された[8][9]。Windows 10 Creators UpdateではSVGレンダリングなどのサポートが追加された[10]

導入事例

WebブラウザーのInternet Explorerはバージョン9.0以降、またWindows向けのMozilla Firefoxはバージョン4.0以降から、レンダリングにDirect2Dを使用して表示高速化を図っている。

Microsoft Officeはバージョン2010で一部の画面表示にDirect2Dによるアクセラレータを活用している[11]

CADソフトのJw_cadはバージョン8でDirect2Dアクセラレータを採用している[12]

Windows OS と使用可能なバージョン

Direct2D はDirect3D 10.1/11.x上に構築される高レベルAPIのため、Windows OSのバージョンによって使用可能なバージョンが制限される。下記に対応バージョンを示す(サーバー用OSは省略)。

Direct2D 1.0
Windows Vista SP2 + Platform Update、またはWindows 7以降で使用可能。
Direct2D 1.1
Windows 7 SP1 + Platform Update、またはWindows 8以降で使用可能。
Direct2D 1.2
Windows 8.1以降で使用可能。
Direct2D 1.3
Windows 10以降で使用可能。

関連項目

脚注

外部リンク



Direct2D

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 20:30 UTC 版)

Windows API」の記事における「Direct2D」の解説

Direct3D上に構築され高レベル2D描画APIGDI+置き換えとなる。

※この「Direct2D」の解説は、「Windows API」の解説の一部です。
「Direct2D」を含む「Windows API」の記事については、「Windows API」の概要を参照ください。

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