豚カツ
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豚カツ(とんかつ)は、厚みのある豚のロースやヒレのスライス肉を、小麦粉・溶き卵・パン粉をまとわせて食用油で揚げた日本料理である[1]。表記は、「とんかつ」・「とんカツ」・「トンカツ」・「豚カツ」など様々である。単に「カツ」と書かれることもある。カツはカツレツの略である。
注釈
- ^ 大量の油で揚げた理由は、「日露戦争で見習いコックが徴兵されて、人手が足りなかったから」という関係者の談があり、何枚も同時に揚げて調理の効率化を計りたかったからともいう。またキャベツの千切りを添えたのは、1904年(明治37年)ごろであると考えられる。
- ^ 豚肉の使用 宮崎昭の『食卓を変えた肉食』では、「 カレーの牛肉を豚肉に替える食文化が出来た。 カツレツを豚肉で作ると特においしい事が知られた。牛肉は豚肉にとって替わられていった。」と説明している。吉田忠の『牛肉と日本人』(ISBN 978-4540911064)では、「幕末の江戸において、牛肉ではなく豚肉が最初に広まった。明治末から豚カツをはじめとする多様な豚肉料理が普及した。牛肉料理を比較的価格の安い豚肉に変えたらどうかと工夫を重ねた。」と東京の影響について説明している。農林省畜産局の『本邦の養豚』では、全国豚畜産数について、1916年 337,891頭、1925年 672,583頭とわずか9年で倍増しており、上記の変化を裏付けしている
- ^ 島田は宮内省の大膳職を務めたほどのキャリアの持ち主で、1905年(明治38年)に「ぽん多本家」を創業していまも盛業である。
- ^ 他に、「納豆とんかつ」・「わらじとんかつ」など。地域名物の弁当としても。
出典
- ^ 小菅桂子『にっぽん洋食物語大全』p120
- ^ 旭屋出版『とんかつ・コロッケ・揚げ物料理』110頁
- ^ 日本橋三四四会「食文化史研究家・岡田哲氏は、洋食の歴史を詳しく紐解いた著「とんかつの誕生 明治洋食事始め」(講談社選書メチエ)で、前述の歴史のほか、とんかつが洋食でなく、和食の一つとして完成するまでの経緯を述べている」
- ^ ごますりとんかつ・とんき当店おすすめの食べ方
- ^ 栄養コラム 食のツボコラムNo.44 2020.6.14閲覧。
- ^ 保志, 増子 (2019). “「とんかつ」の受容と変容に関する一考察”. 国際情報研究 16 (1): 3–11. doi:10.11424/gscs.16.1_3 .
- ^ 永井荷風「銀座」『荷風随筆』 上、岩波書店〈岩波文庫〉、1986年9月16日(原著1911年7月)。ISBN 400310417X 。2011年6月2日閲覧。"或る人は、帝国ホテルの西洋料理よりもむしろ露店の立ち食ひにトンカツのオクビをかぎたいといった。露店で食ふ豚の肉の油揚げは、既に西洋趣味を脱却して、しかも従来の天麩羅と抵触する事なく、更に別種の新しきものになり得ているからだ。"。
- ^ 『銀座』:新字新仮名 - 青空文庫
- ^ どんぶり探偵団編・文藝春秋刊「ベストオブ丼」70ページでも触れられている。
- ^ 高村光太郎『道程-詩集』(角川書店、1968年)より。「浅草の洋食屋は暴利をむさぼって/ビフテキの皿に馬肉を盛る/泡のういた馬肉の繊維、シチュウ、ライスカレエ/癌腫の膿汁をかけたトンカツのにほひ」
- ^ 明治時代に知られてきた洋食の「ポークカツレツ」は、「豚カツレツ」という表記でも料理書や店のメニューに散見されるようになった(上 : 岡田 とんかつの誕生 p171)
- ^ a b 菊地武顕「100年の味を堪能する」『週刊朝日』第127巻第11号、朝日新聞社、2022年3月11日、8頁、大宅壮一文庫所蔵:000064037。
- ^ 宮下裕史「職人で選ぶ45歳からのレストラン」『週刊文春』第49巻第40号、文藝春秋、2007年10月18日、184頁、大宅壮一文庫所蔵:100079870。
- ^ 鍵和田啓介「巨匠・小津安二郎が惚れ込んだグルメの生地。」『BRUTUS』第41巻第21号、マガジンハウス、2020年11月15日、151頁、大宅壮一文庫所蔵:000054672。
- ^ 丹野達弥他『いま、小津安二郎』小学館〈Shotor library〉、2003年5月20日、78-79頁。ISBN 978-4-09-343155-2。
- ^ 十條四郎「借りた十五圓を資本にして屋臺トンカツ屋から出発 蓬莱屋成功物語」『実業の日本』第34巻第19号、実業之日本社、1931年10月1日、94-95頁、全国書誌番号:00010152。
- ^ 日本で最初に豚肉フライに「とんかつ」という名称を付けたとんかつ屋『王ろじ』に行ってみた
- ^ 料理と食シリーズ『とんかつ・コロッケ・揚げ物料理』p16-98 旭屋出版
- ^ どんぶり探偵団編・文藝春秋刊『ベストオブ丼』p70
- ^ 岡田 とんかつの誕生 p220
- ^ a b 『職業別電話名簿 第24版』日本商工通信社、1934年、2236頁。
- ^ 富田仁の『舶来事物起原事典』(名著普及会、1987年)p59に以下の記述がある。「カツレツがとんかつという名になったのは昭和四年頃のことである。宮内省大膳部にいた島田信二郎が、上野のぽんち軒という西洋料理店のコックになり、ポークカツをつくったとき、その名称に悩み、考えた末に平仮名で『とんかつ』と名づけたのである」。ただし、ぽんち軒とは、いまも続く「ぽん多」のことではなかったかと小菅桂子が著書で控え目に指摘している。
- ^ 息子の島田忠彦によると、島田信二郎は「とんかつ」という呼び方を嫌っていたという。
- ^ 『大東京うまいもの食べある記 昭和10年版』丸之内出版社、1935年、101,413,414頁。
- ^ “本年度(自一月至十二月)栄養の日本総目次一覧表 第五巻 第三号 カツを旨く作るには ポンチ軒主人 飯島和七”. 栄養の日本 5 (12): 83. (12 1936).
- ^ 上 : 岡田 とんかつの誕生 p172
- ^ 上 : 岡田 とんかつの誕生 p166
- ^ 小菅桂子『にっぽん洋食物語大全』p122
- ^ 上 : 岡田 とんかつの誕生 p172-175
- ^ コロッケはその半額だった。上 : 岡田 とんかつの誕生 p173
- ^ 和幸
- ^ 上 : 岡田 とんかつの誕生
- ^ “西洋料理通” 2020年12月12日閲覧。
- ^ 小林しのぶ『全国美味駅弁決定版』17,38,39,99,107頁JTBパブリッシング。すでに製造中止のものを含め複数の例が見出される。
- ^ 東京都食肉事業協同組合・東京都食肉生活衛生同業組合HP
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