自由群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/01 05:15 UTC 版)
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自由群(じゆうぐん、free group)とは、公理から来る自明なもの以外に元の間の等式がない群のことである。ただし、二つの元を取り出したとき、同じ元であるかどうか、および一方が他方の逆元であるかどうかは判定できる。
構成
文字の集合 X = {xλ} λ∈Λ に対し、新たに文字の集合 X-1 = {xλ-1} λ∈Λ をつくり、Ω = X ∪ X-1 とおく。 Ω に含まれる文字からなる長さ有限な文字列を、文字集合 Ω 上の語(ご、word)と呼ぶ。
Ω の二つの語 a = (a1, a2, ..., an), b = (b1, b2, ..., bm) の積 ab を
- ab = (a1, a2, ..., an, b1, b2, ..., bm)
と定めると Ω の語の全体 W(Ω) は、空の語 () を単位元とするモノイドになる(自由モノイドあるいは空の語を特に考えないものは自由半群)。ある語 a の中に x ∈ X と x-1 ∈ X-1 が隣り合っている部分があるとき、この二つを取り除いて新たな語 b を作ることを a を簡約(かんやく、reduce, cancel)して b にするという。簡約できない語は既約(きやく、irreducible)であるという。語 a を簡約して得られる既約な語を a の簡約表示と呼び、ここでは I(a) と表すことにする。 W(Ω) における二項関係 ~ を簡約表示が一致すること、すなわち
- a ~ b ⇔ I(a) = I(b)
で定めると、この関係 ~ は同値関係となる。語 a の属する同値類を [a] で表すことにする。
定義
上の記法のもとで、W(Ω) の同値類の集合 F(X) = W(Ω)/~ は、積を [a][b] = [ab] により定義することによりX で生成される群になる。 この群 F(X) を文字集合 X 上の自由群という。
普遍性
文字集合 X 上の自由群は自由群の普遍性 (universal property) と呼ばれる、以下の性質によって特徴付けられる。G を任意の群とし、f: X → G を任意の写像とすると、群の準同型
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自由群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:11 UTC 版)
自由群の構成は極めて普通の随伴による構成であり、上記の詳細の分かりやすくて便利な例である。 関手F : Grp ← Setは各集合YにYの要素の生成する自由群を対応させるものとし、関手G : Grp → Setは群Xにその台集合を対応させる忘却関手とする。以下に示すようにFはGの左随伴となる。 「終」普遍射。各群Xについて、群FGXはGXの生成する、すなわちXの元たちが生成する自由群である。群の準同型 ε X : F G X → X {\displaystyle \varepsilon _{X}:FGX\to X} をFGXの生成元を対応するXの元に写すものとする。これは自由群の普遍性から常に存在する。このとき ( G X , ε X ) {\displaystyle (GX,\varepsilon _{X})} はFからXへの普遍射である。なぜなら、自由群FZからXへの群の準同型は ε X : F G X → X {\displaystyle \varepsilon _{X}:FGX\to X} を通して、一意的なZからGXへの写像経由で分解されるからである。これは(F, G)が随伴の対であることを意味する。 「始」普遍射。各集合Yに対して、GFYは単にYの生成する自由群FYの台集合である。写像 η Y : Y → G F Y {\displaystyle \eta _{Y}:Y\to GFY} は生成元の包含により与えられる。各 ( F Y , η Y ) {\displaystyle (FY,\eta _{Y})} はYからGへの普遍射である。なぜなら、YからGWの台集合への写像は η Y : Y → G F Y {\displaystyle \eta _{Y}:Y\to GFY} を通して、FYからWへの一意的な群の準同型経由で分解されるからである。これも(F, G)が随伴の対であることを意味する。 hom集合随伴。自由群FYから群Xへの群準同型は正確に集合Yから集合GXへの写像に対応する。すなわち、FYからXへの射は生成元への作用により完全に決定される。この対応が自然同型であることも直接確認できる。よって(F,G)に対応するhom集合の随伴が得られた。 余単位-単位随伴。εとηが自然であることは直接確かめられる。そして、余単位-単位随伴 ( ε , η ) : F ⊣ G {\displaystyle (\varepsilon ,\eta ):F\dashv G} であることは以下のようにして示す。 1つ目の余単位-単位恒等式 1 F = ε F ∘ F η {\displaystyle 1_{F}=\varepsilon F\circ F\eta } というのは各集合Yに対して、合成 F Y → F ( η Y ) F G F Y → ε F Y F Y {\displaystyle FY{\xrightarrow {\;F(\eta _{Y})\;}}FGFY{\xrightarrow {\;\varepsilon _{FY}\,}}FY} が恒等射であるということである。途中の群FGFYは自由群FYの語たちから生成される自由群である。(以降、括弧でくくられた語は独立した生成元を表すことにする)。射 F ( η Y ) {\displaystyle F(\eta _{Y})} はFYからFGFYへの群の単射準同型であり、FYの生成元yを対応するFGFYの生成元である長さ1の語 (y) に写す。射 ε F Y {\displaystyle \varepsilon _{FY}} はFGFYからFYへの群の準同型であり、生成元を対応するFYの語に写す(つまり「括弧を外す」)。これらの合成はもちろんFYの恒等射である。 2つ目の余単位-単位恒等式 1 G = G ε ∘ η G {\displaystyle 1_{G}=G\varepsilon \circ \eta G} というのは各群Xに対して、合成 G X → η G X G F G X → G ( ε X ) G X {\displaystyle GX{\xrightarrow {\;\eta _{GX}\;}}GFGX{\xrightarrow {\;G(\varepsilon _{X})\,}}GX} が恒等射であるということである。途中の集合GFGXは単にFGXの台集合である。射 η G X {\displaystyle \eta _{GX}} は集合GXから集合GFGXへの「生成元たちの包含」写像である。射 G ( ε X ) {\displaystyle G(\varepsilon _{X})} は集合GFGXから集合GXへの写像で、FGXの生成元をXの元に写す(「括弧を外す」)という群の準同型の台である。これらの合成はもちろんGXの恒等射である。
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