線型位相空間
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ナビゲーションに移動 検索に移動数学における線型位相空間(せんけいいそうくうかん、英語: linear topological space)とは、ベクトル空間の構造(線型演算)とその構造に両立する位相構造を持ったもののことである。係数体は実数体 R や複素数体 C などの位相体であり、ベクトルの加法やスカラー倍などの演算が連続写像になっていることが要請される。線型位相空間においては、通常のベクトル空間におけるような代数的な操作に加えて、興味のあるベクトルを他のベクトルで近似することが可能になり、関数解析学における基本的な枠組みが与えられる。
ベクトル空間の代数的な構造はその次元のみによって完全に分類されるが、特に無限次元のベクトル空間に対してその上に考えられる位相には様々なものがある。有限次元の実・複素ベクトル空間上の、意義のある位相はそれぞれの空間に対して一意的に決まってしまうことから、この多様性は無限次元に特徴的なものといえる。
定義
位相体 K 上の線型空間 E で、線型空間としてのベクトル和とスカラー積が連続写像になっているものは線型位相空間とよばれる。すなわち、E は加法
- 赤池弘次、ほか『岩波数学辞典』日本数学会編、岩波書店、東京、1985年、第3版。ISBN 4000800167。NCID BN00086340。
- ブルバキ, ニコラ『位相線型空間 1』小針 宏, 清水達雄訳、東京図書〈ブルバキ数学原論 20〉、東京、1986年10月15日。ISBN 4489002033。
- ブルバキ 20, ニコラ『位相線型空間 2』小針 宏, 清水達雄訳、東京図書〈ブルバキ数学原論 21〉、東京、1986年10月15日。ISBN 4489002041。
- ブルバキ, ニコラ『位相線型空間 要約』小針 宏, 清水達雄訳、東京図書〈ブルバキ数学原論 22〉、東京、1986年10月15日。ISBN 448900205X。
- Lax, Peter (2002). Functional Analysis. New York: Wiley-Interscience. ISBN 0471556041. NCID BA56608154
線形位相空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 07:17 UTC 版)
ノルム空間上の線形作用素の有界性に関する条件は、次のように言い換えることが出来る。作用素は、すべての有界集合をふたたび有界集合へと写すとき、有界であると言われる。ここでの集合の有界性は、線形位相空間の集合に対するより一般的な条件を意味する: 集合が有界であることと、その集合が 0 のすべての近傍により吸収されることは必要十分である。有界性についての二つの記述は、局所凸空間に対しては同じ意味となる。 これより、一般的な線形位相空間の間の作用素が有界であるということを、その作用素が有界集合を有界集合へと写す、ということにより定義することが出来る。この文脈において、すべての連続作用素が有界作用素であるということは依然として正しいが、その逆は成立しない。すなわち、有界作用素は必ずしも連続作用素ではない。このことは明らかに、有界性はもはやリプシッツ連続性と同値にはならない、ということを意味している。 そのような逆は、定義域が擬距離空間であるような場合に成立する。例えばフレッシェ空間などがこの場合に含まれる。LF-空間に対しては、次のような弱い意味での逆が成立する; LF-空間からの任意の有界線形作用素は、点列連続(英語版)である。
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