生活世界
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ナビゲーションに移動 検索に移動生活世界(独:Lebenswelt)とは、後期フッサールの現象学の概念の一つである。著作『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』ではじめて提示されていた。現象学は、なぜ我々は世界の実在を確信するのかを探究する学問であり、我々の意識主観と世界の存在との相関関係の研究から出発したが、その単純な相関関係のなかでは捉えきれないような存在次元(間主観性や身体性、受動的総合)がしだいに姿を現してきた。こういった存在次元をまとめた全体をフッサールは「生活世界」として概念化した。「生活世界」の概念は、二つの批判において成り立っている。一つは自然科学批判、もう一つはカント批判である。フッサールによると、生活世界は、あらゆる意味形成と存在妥当の根源的地盤として、科学的な世界理解に先立っていつもすでに自明なものとして与えられている世界を意味する。「生世界」とも訳される。
生活世界
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「エトムント・フッサール」の記事における「生活世界」の解説
『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』において、フッサールは、普遍的な本質認識を求める真の学は、古代ギリシアにおいて、理性によって世界の全体を体系的に把握する普遍学として原創設されたとする。そこでは、学問以前に日常的に直感される「生活世界」(Lebenswelt)の基盤において、真の学が成立していた。ところが、ガリレオ・ガリレイによって物理学の基礎付けに数学が導入されて以降、自然は数式によって理念化されて「数学的・記号学的理念の衣」によって被われてしまった。その結果、生活世界は隠蔽されてしまったのであった。これが「ヨーロッパ諸学の危機」であるとする。そして、フッサールは、超越論的現象学によって「すべての客観的学問」をエポケーして生活世界を取り戻すことを主張したのである。
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