理論的背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 03:06 UTC 版)
当時問題となっていた場の量子論の計算結果の発散を解決するには、ローレンツ変換に対する不変性―対称性―共変性を式に与えることが、式の見通しを良くするために必要であった。従来の場の量子論は、共変形式を満たさず計算が困難である。朝永は、以下の方法で場の量子論を共変的に書き換え、特殊相対論的なゲージ理論を確立する。 朝永の超多時間理論は、光速以下では結ばれないミンコフスキー空間的超曲面を、場の量子論に導入する。量子力学では、場の量はすべて交換可能で、確率振幅(状態)が与えられるので、従来の一個の時間であった超平面が、連続無限個の時間を与える超曲面での関数となる。これにより、1個の時間に関する確率振幅の微分方程式(シュレディンガー方程式)が、空間的超曲面でのローレンツ系に依存しない汎関数微分方程式に置き換えられる。 これは、1932年にディラックが提唱した多時間理論(相互作用をしている電子一つ一つに独立な時間を与える)の電子の生成・消滅を含まないという欠点を改めたものであるため、超多時間と名付けられた。
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