現れ方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/11 15:25 UTC 版)
昆虫の翅は、その背面を広く覆う構造なので、その長短は外見的なはっきりとした特徴となる。昆虫の和名でハネナガとかコバネなどがよく見られるのはこれによるが、同様に長翅型と短翅型も一目で見て取れることが多い。長翅型では背中を完全に覆う翅が、短翅型では背中を覆いきれない例も多い。しかし、コウチュウ目など前翅が飛行にあまり関与しない例では後翅のみが退化し、外見的には差が見えにくい例もある。 さらに、ナガチャコガネでは、後翅の発達には差が見られないのに、飛翔筋を持つものと持たないものがあり、実質的には翅多型と同じ意味を持つ。ただしこれは翅多型と同じような適応的意味を持つものではないかも知れない。さらに奇妙なのは、フタモンホシカメなどのカメムシで知られている。このカメムシには長翅型と短翅型があり、長翅型は高密度と高温などの条件で誘発される。これは後述の通り、翅多型によく見られるものである。しかし、このカメムシでは飛翔筋が全く欠けており、長翅型、短翅型共に飛翔力がない。 このように、翅多型は外見的にわかりやすい現象であるが、実際の飛翔に関してはさらに多くの要素が関わる面があり、それらを総合して飛翔多型という語も使われることがある。さらに、分散と定位着の問題は、より広い生物全体でも重要な問題であるから、さらに広く見れば分散に関する多型現象と見ることができ、その意味で分散多型の語もある。翅多型はこの中で、昆虫ではそれが飛翔に関する部分で顕著なのだ、と見ることもできる。
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