物自体とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 哲学 > 哲学 > 物自体の意味・解説 

もの‐じたい【物自体】

読み方:ものじたい

《(ドイツ)Ding an sichカント哲学で、感官触発して表象生じさせることによって、われわれに現れ限りでの対象現象)の認識得させる起源となるが、それ自体不可知であるもの。現象背後にある真実在。本体


物自体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 04:44 UTC 版)

物自体(ものじたい、: Ding an sich: thing-in-itself)は、ドイツの哲学者、カント哲学の中心概念。なお、多くの場合、ギリシア語の「ヌース」(nous, 精神)に由来する「ヌーメノン」(noumenon, 考えられたもの)という語も、これと同義語として用いられる。

概要

大陸の合理論イギリス経験論哲学を綜合したといわれるカントが、その著書『純粋理性批判』の中で、経験そのものを吟味した際、経験の背後にあり、経験を成立させるために必要な条件として要請したものが、物自体である。

「感覚によって経験されたもの以外は、何も知ることはできない」というヒュームの主張を受けて、カントは「経験を生み出す何か」「物自体」は前提されなければならないが、そうした「物自体」は経験することができない、と考えた。物自体は認識できず、存在するにあたって、我々の主観に依存しない。因果律に従うこともない。

カントに拠れば、物自体の世界が存在するといういかなる証拠もない。「物自体」のような知的な秩序があるかどうかわからないが、その後の経験によって正当化されるであろう。

歴史的経緯

「物自体」という概念は、古代ギリシャエレア派プラトンアリストテレス等によって形成された「イデア形相」ないしは「ウーシア」概念、また、それを継承した中世スコラ学における「神」に似た概念、すなわち、「理性でのみ接触し得る本質」という西洋思想の伝統的発想の延長線上にあり、それをカントの批判哲学超越論哲学(先験哲学)の枠内で表現した概念である。

(他地域でこれに類似したものとしては、インドにおける説一切有部等の部派仏教における「ダルマ」(法)概念がある)

大陸合理論においては、こうした超越的概念に対する思索が、相変わらず素朴に行われたまま、独断論の温床となった。 他方、イギリス経験論では、ヒュームに至り、それは懐疑の対象となっていた。

こうした状況に収拾を付けつつ、また同時に、この伝統的な超越的概念も擁護し、「形而上学」を適正に復興すべく、「理性自体の吟味」を通じて、「人間は超越的概念(物自体)に対して、どこまで理性的に思惟・接近し得るのか」を境界策定(メタ規定)し、示そうとしたのが、カントの批判哲学・超越論哲学(先験哲学)である。

内容

自由

超越論的自由とは「物自体」として要請されたものである。というのも、「行為」の結果は知ることができるが、その行為を起こした「自由意志」は現象界に属するものではない。しかし、因果律によって存在が証明できない、この「自由意志」が要請されることによって、その行為に対する道徳的責任を問うことができる。ゆえに「自由」の存在は正当化されるのである。

影響

カント以後のドイツ哲学者では、ヘーゲルフィヒテにみられるように、「物自体」という概念を斥け自我や主観のみが実在するという独我論に近い立場をとる。ただ、ショーペンハウアーは「物自体」を「意志」と同一視し、その道徳観の基礎としている。意志の優越を説く教説がニーチェベルクソンウィリアム・ジェームズデューイらに主張されていることを合わせ考えると、経験によって与えられず認識されもしない「物自体」の世界が自由意志の根拠として20世紀の哲学者に残されたともいえる。

関連項目


物自体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/21 16:22 UTC 版)

ザーロモン・マイモン」の記事における「物自体」の解説

彼は物自体の難問一定の解答与える。回転する円盤各部分はどこも円運動しているが、中心に近いほどその動き遅く無限小中心点速度ゼロ回転していない。中心点回転という現象内部ありながら回転という現象超えた現象そのもの支えのである。これと同様、物自体は意識現れる現象内部にある。

※この「物自体」の解説は、「ザーロモン・マイモン」の解説の一部です。
「物自体」を含む「ザーロモン・マイモン」の記事については、「ザーロモン・マイモン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「物自体」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「物自体」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



物自体と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「物自体」の関連用語



3
自家蛍光 デジタル大辞泉
52% |||||








物自体のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



物自体のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの物自体 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのザーロモン・マイモン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS