海洋論争とは? わかりやすく解説

海洋論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/28 16:10 UTC 版)

領海」の記事における「海洋論争」の解説

17世紀前半には「海洋論争」といわれる学術的対立繰り広げられた。例えグロティウスは、母国オランダ擁護する観点からオランダ通商排除しようとするポルトガル対抗し『自由海論』(1609年)を刊行し何人も海を所有しえないと主張したグロティウス主張によれば、海はその自然的性質から境界確定することが困難であるため所有領有対象とはなりえず、万民による利用のために開放されるべきという。この主張は後の海洋の自由原則形成大きな影響与えたが、当時多く論者グロティウス主張に異を唱えたその中で代表的であったのがセルデンの『閉鎖海論』(1635年)である。セルデン同書の中で、歴史的な慣行照らせ海軍力による支配国家権力行使などによって海洋物理的支配は可能であると主張しグロティウス挙げた論拠否定した18世紀にはいり、重商主義通商自由主義高まっていくと「海洋論争」は「狭い領海」と「広い公海」の二元構造認め方向落ち着いていった。つまり、中央集権化の進む国家秩序維持必要な「狭い領海」と、通商の自由海外植民地獲得などをもくろむ海洋先進国自由競争容認される「広い公海」の二元構造である。こうした考え方当時国際社会受け入れられ国際慣習法として確立した

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海洋論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 19:54 UTC 版)

自由海論」の記事における「海洋論争」の解説

学説上もグロティウス説いた海洋の自由理論に対して多く学者反論し1610年代から30年代にかけて『自由海論』反駁する著書多く出版された。例え自国擁護する観点から、ポルトガルのセラフィム・ジ・フレイタスは『アジアにおけるポルトガル人正当な支配について』(De justo imperio Lusitanorum asiatico, 1625)を、スペインのフアン・ソロルサノ・ペレイラは『インド法』(De Indiarum jure, 1629)を著わした。またイギリスのウィリアム・ウェルウッドは『海法要義』(An Abridgement of All Sea-Lawes, 1613年)、『海洋領有論』(De dominio maris, 1615年)などを著わしグロティウス反論した。ウェルウッドの反論対しグロティウスは『ウィリアム・ウェルウッドによって反論された自由海論第5章弁明』(Defensio Capitis Quinti Maris Liberi Oppugnati a Guilielmo Welwodo)を執筆し再度海洋の自由主張しようとしたが、これは未完成でありグロティウスによって出版されることはなく、『捕獲法論』の原稿とともに1864年発見され1872年にサミュエル・ムーラー著『閉鎖海論』(Mare clausum)の付録として出版された。これはグロティウス自身書いた唯一の反論であるといわれるイギリスジョン・セルデンが著わした『閉鎖海論』(Mare clausum, 1635年)は『自由海論』反駁し書籍なかでも最も有名な著書である。セルデンこのなかで海水流動的であってもそのもの変化するわけではないため海の物理的な支配が可能であるとし(グロティウス説いた自然的理由否定)、海は無尽蔵ではなく航行漁業通商などによって海の利益減少するため万民共同使用適しているという主張事実反する(グロティウス説いた道徳的理由否定)としたのである前述のようにこの時期イギリスは「イギリスの海」を主張し自国沿岸漁業独占目指していて、とくにイギリス学者たちはイギリスこうした立場正当化するために『自由海論』反論した。つまりグロティウスオランダ東インドへの航行の自由論拠として海洋の自由主張したのに対しセルデンイギリスによる近海漁業支配論拠として海が領有可能であることを主張したのである。『閉鎖海論』の出版当時には『自由海論』よりも大きな支持集め、また『閉鎖海論』ほうがより当時諸国慣行一致していたともいわれる。こうして17世紀前半展開され学術的論争は「海洋論争」といわれ、近代海洋法形成契機となった

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