河津桜
かわづざくら (河津桜)





●「ひかんざくら(P. cerasoides var. canpanulata)」と「おおしまざくら(P. speciosa)」との種間交雑種と考えられています。1955年ごろに河津川沿いで発見され、河津町に移植されたことから名付けられました。2月中旬から3月上旬に、「かんざくら(P. x kanzakura cv. Kanzakura)」よりも大きく濃い淡紅色の花を咲かせます。現在では河津町のほか、南伊豆町でも植栽され「みなみざくら(南桜)」とも呼ばれています。果実は、球形の液果で黒紫色に熟し、甘味があります。
●バラ科サクラ属の落葉高木で、学名は Prunus x kanzakura cv.Kawazu-zakura。英名はありません。
カワヅザクラ
カワヅザクラ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Cerasus × kanzakura ‘Kawazu-zakura’ |
カワヅザクラ(河津桜、学名:Cerasus × kanzakura ‘Kawazu-zakura’)は、バラ科サクラ属のサクラ。日本固有種のオオシマザクラ (Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba, 1992) とカンヒザクラ (Cerasus campanulata (Maxim.) Masam. & S.Suzuki)の自然交雑から生まれた日本原産の栽培品種のサクラ。
特徴
樹高は亜高木、樹形は傘状。一重咲きで4cmから5cmの大輪の花を咲かせ、花弁の色は紫紅。オオシマザクラとカンヒザクラの雑種にさらにカンヒザクラが交雑した種であり、オオシマザクラ由来の大輪の花と、カンヒザクラ由来の紫紅の花弁の色と早咲きが大きな特徴である。東京の花期は通常は2月から3月上旬で稀に早い年には12月に開花することもある。原木のある静岡県河津町での花期は2月頃で花期が1ヶ月と長い。野生では花粉の媒介者となる虫の活動が始まる春よりも大幅に早く咲くと子孫を残せないため、本州の野生種のサクラには寒い時期に咲かない仕組みがあるのだが、カワヅザクラは本来は本州に自生しないカンヒザクラが交雑することによって花期が早まったと考えられている。極端な早咲きは野生では淘汰される不利な特質だが、カワヅザクラのような栽培品種ではその珍しい特質と花の特徴がむしろ好まれて接ぎ木などで増殖されている[1][2]。
由来
1955年に静岡県賀茂郡河津町田中の飯田勝美が河津川沿いの雑草の中で1mほどの原木を偶然発見し、庭先に植えたことが由来である[3][4]。1966年から開花し、当初、発見者の飯田家の屋号から「小峰桜」と地元で言われてきたが[3]、その後の学術調査で今までに無かった雑種起源の栽培品種であると判明し、1974年に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名され[3]、1975年に河津町の木に指定された[3]。現在も原木はこの地に存在し、2007年現在で樹齢50〜60年である。また、1968年頃からこのサクラが増殖されるようになった。町の木指定に伴い、町民有志らによる植栽が河津川河口などから町内全域に広がったが、樹勢劣化や病虫害による病斑や、植栽間隔が短く枝が接触することによる生育障害も見つかるようになった[5]。また、堤防の樹木は根元から水が入り、土壌が緩んで決壊しやすくなり、流木による堤防の損壊や水位上昇につながる恐れもあることから、1998年施行の改正河川法により河川区域での植樹は禁止された[5]。
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飯田家のカワヅザクラ原木(2009年3月)
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静岡県賀茂郡河津町のカワヅザクラ(2010年3月)
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つぼみ(2019年1月 静岡県賀茂郡河津町内)
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花(2019年3月 埼玉県深谷市内)
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果実(2007年4月)
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咲き誇るカワヅザクラ(深谷市の榛の森公園)
イベント
名前の由来となった河津町では1991年より、毎年2月10日前後から3月10日前後にかけて河津桜まつりが開催される。河津駅近辺の河口から河津川にそって「河津桜並木」が約3km続いており、毎年この時期になると大勢の観光客でにぎわう。夜にはライトアップされる。
また、寒波などの影響で開花が遅れ、河津桜まつり閉幕後も河津桜が楽しめる年もある。このような年は河津町観光協会の判断により、特別イベントとして「かわづ春うららまつり」が1週間実施される(2012年・2013年に実施)[6]。
自治体の木
その他
脚注
- ^ 河津桜[1] 日本花の会 桜図鑑
- ^ 勝木俊雄『桜』p98 - p100、岩波新書、2015年、ISBN 978-4004315346
- ^ a b c d 河津町観光協会 河津桜まつり
- ^ 河津桜ってなに河津桜まつり情報局
- ^ a b 老木化「河津桜」どうする 植え替えに河川法の壁、新景観を模索静岡新聞、2017/10/5
- ^ “河津町観光協会 かわづ春うららまつり” (PDF). 2013年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月7日閲覧。
関連項目
外部リンク
河津桜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 20:26 UTC 版)
岡崎市竜美丘会館裏手(東明大寺町)から竹橋(大西町字渕田)にかけての堤防は、3月になると河津桜でピンク色に染まる。1998年(平成10年)春に幸田町のゴルフ場に咲く河津桜に感激した岡崎市の市民が乙川堤防に植えることを考え、愛知県と市に交渉。植樹の許可は3年弱後に下り、2001年(平成13年)1月、85人の市民が一人2万円を出し合い、800メートルにわたり1本ずつ苗木を植えた。本数は計86本。 この河津桜は徳川家の家紋にちなみ「葵桜(あおいざくら)」と名付けられ、現在多くの客でにぎわう。
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