板まんだら事件とは? わかりやすく解説

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板まんだら事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 22:44 UTC 版)

最高裁判所判例
事件名 寄附金返還
事件番号 昭和51(オ)749
1981年(昭和56年)4月7日
判例集 民集第35巻3号443頁
裁判要旨
訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとつており、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断は請求の当否を決するについての前提問題にとどまるものとされていても、それが訴訟の帰趨を左右する必要不可欠のものであり、紛争の核心となつている場合には、該訴訟は、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらない。
第三小法廷
裁判長 横井大三
陪席裁判官 環昌一寺田治郎
意見
多数意見 全会一致
意見 寺田治郎
反対意見 なし
参照法条
裁判所法3条
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板まんだら事件(いたまんだらじけん)とは宗教の問題と審判権の限界について争われた日本の訴訟[1]

概要

創価学会が本尊を安置する正本堂建立のために資金を募り、創価学会員17人が1965年10月に最高200万円、計541万8805円を寄付した[2]。この正本堂は1972年に完成したが、後に創価学会を脱退した17人は「本尊とされている板本尊(板まんだら)は日蓮聖人の手によるものではなく偽物」であり、錯誤による寄付は無効として寄付金の返還を求める訴訟を起こした[2]

1975年10月5日東京地方裁判所は「板まんだらの真偽などの争いの前提となっている事柄は、宗教の本質である信仰に直接かかわる」として訴えを却下[1][2]1976年3月30日東京高等裁判所は「宗教上の行為でも、それに伴って財産上の権利に紛争が起きた場合は裁判所の審判の対象になる」と一審の却下判決を取り消して、一審での審理やり直しを命じる判決を言い渡し[1][2]、創価学会は上告した[2]

1981年4月7日最高裁判所は「裁判所が審理できる対象は、法律の適用により、終局的に解決することができるものに限られる。本件訴訟は信仰対象の価値または宗教上の教義に関する判断なしには解決不可能で、訴えは不適法で却下すべき。」との判断を示して、「審理の対象となる」とした控訴審判決を破棄の上控訴を棄却し、一審の訴えを却下する判決が確定した[2]寺田逸郎は「訴えを適法と認め、審理の中で請求棄却の判決をすべき」とする意見を述べた[2]

脚注

  1. ^ a b c 憲法判例研究会 (2014), p. 388.
  2. ^ a b c d e f g 「最高裁が門前払い 創価学会板まんだら訴訟」『朝日新聞』朝日新聞社、[要文献特定詳細情報]、1981年4月7日、[要文献特定詳細情報][要ページ番号]

参考文献


板まんだら事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 05:25 UTC 版)

審判権の限界」の記事における「板まんだら事件」の解説

最三小判1981(昭56年4月7日民集353号443頁. Y会(創価学会)の元会員Xらが、Y会に対してした寄付錯誤無効であるから返還せよと請求した事件である。主張され錯誤内容は、Y会が本尊だとする「板まんだら」は偽物であるというものだった最高裁判所は、法律上の争訟であるとした原審判決破棄し訴え却下した一審判決支持した具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争形式とっているものの、不可欠前提問題として「信仰の対象価値または宗教上の教義に関する判断」が必要とされるために、「実質において法令適用による終局的な解決不可能なもの」であるから法律上の争訟ではないとしたのである。なお、法律上の争訟ではあるから却下すべきではなく証明責任基づいて錯誤証明されていないことを理由請求棄却すべきだとの、寺田裁判官による反対意見付された。 この判決は、本来法律上の争訟である不当利得返還請求法律上の争訟ではないとした点で、種徳寺事件本門寺事件異なっている。そして「その実質において」といった論法用いられていることもあり、民事訴訟法学者の中では疑問を持つ者も少なくない

※この「板まんだら事件」の解説は、「審判権の限界」の解説の一部です。
「板まんだら事件」を含む「審判権の限界」の記事については、「審判権の限界」の概要を参照ください。

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