月軌道
月軌道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 22:56 UTC 版)
「アルフレッド・ウォーデン」の記事における「月軌道」の解説
月軌道に入ると、スコットとアーウィンはファルコンに乗り込み、ウォーデンはエンデバーに残った。2機の分離に失敗し、ファルコンとその乗組員が月着陸の準備をできなかった時には、ウォーデンはドッキングトンネルに入り、緩んだアンビリカルケーブルを繋ぎ直して問題を解決した。エンデバー内のウォーデンは、スコットとアーウィンが月面に向けて降下し、着陸した音を聞くことができたが、着陸が予定された瞬間にターゲット地点の上空を通過したものの、後の軌道まで、ファルコンの姿を見つけることができなかった。彼は科学実験の準備のために、司令・機械船のメインエンジンを点火してエンデバーを2機が分離した低軌道から120.8km×101.5kmの軌道まで押し上げた。 I didn't come to any conclusions. I still don't know what is out there. What I strongly sensed is that we as a species have not yet experienced enough of the universe. Whatever we believe now is probably not accurate. We have developed our ideas based only on what we can see, touch, and measure. Now I was having a glimpse into infinity and could only dimly sense, not understand, the journey ahead for humans. Alfred M. Worden ウォーデンは、別のCAPCOM及びミッションコントローラとともに、月面の乗組員とは別のミッションを開始した。月軌道に独りでいた間の彼の主な仕事は、写真撮影とSIMベイの機器の操作であった。以前は未使用だったサービスモジュールのスペースを埋めるように、SIMベイには、ブームの先端に取り付けられたガンマ線分光計や、X線分光計、またミッションの途中で故障したレーザー高度計等が積まれていた。恒星カメラと測量カメラが一体となってマッピングカメラを構成し、コロナ偵察衛星技術を応用したパノラマカメラにより補完された。また他には、月の火山作用の証拠を集めるアルファ粒子分光計や、宇宙船からの混入の影響を避けるためにブームに取り付けられた質量分析計等があった。彼は撮影した写真に、言葉による補足を付けた。エンデバーの傾斜軌道のおかげで、以前に詳細に見ていなかった地形の上を通過することができた。月の裏から地球が見える位置に出てミッションコントロールとの通信が回復すると、毎回、ウォーデンは様々な言語で「こんにちは、地球。エンデバーからの挨拶です」と挨拶した。ウォーデンとエル・バズはこのアイデアを思いつき、一緒に翻訳を行った。 忙しくはあったが、彼にはまだこの経験をじっくり味わう時間があった。自身が再び月を訪れる可能性が引くことに気づいており、全ての経験を吸収しようと決心していた。彼は、全ての休息時間を睡眠に充てることは必要とせず、その時間の一部を、宇宙船の外に何があるか、またそれが何を意味しているか、について熟考することに費やした。エンデバーの窓を通して、彼は月、地球、そして恒星を見た。彼は地表の観測者よりも、より多くの恒星のより強い光を見ることができた。彼は、地球が生命を育んだ宇宙で唯一の星であるというのは甘い考えであり、宇宙探査は、太陽系だけに囚われることを避けるための人類の生存本能の一部であるのではないかと結論付けた。 ギネス世界記録は、エンデバー滞在中のウォーデンを「最も孤立した人物」と認定している。単独で月軌道に滞在していた時、彼は最も近くにいた人間であるファルコン内のスコットとアーウィンから、最大で3,597km離れた位置にいた。彼は後に「宇宙船内で全て独力の素晴らしい3日間」を楽しんだ、そして戦闘機のパイロットとして一人でいることには慣れていたと語っている。そして「月の裏では、ヒューストンと会話する必要すらなく、飛行中最も良い部分だった」と回想している。
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