昭和末期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 10:01 UTC 版)
昭和末期、口語短歌は新たな展開を見せる。ここには、主に3つの流れがある。 1つめは、文語表現と口語表現を巧みに組み合わせた文語口語混淆体短歌で、旧来の短歌表現に口語表現を交えた昔からあるスタイルだが、この時期には口語をかなり大幅に取り入れることで、もはや文語と口語のどちらがベースなのか不明な短歌が登場する。このスタイルは俵万智の登場で、大いに世に広まった。2つめは、もはや完全に口語がベースとなった口語短歌である。これは1つめに挙げた文語口語混淆体短歌とほぼ時を同じくして現れた。ここでは加藤治郎、荻原裕幸、穂村弘らが中心となり、散文化、字余り・字足らず、句跨がりをも恐れず、積極的に口語短歌運動を推進した。 以上2つの作風は、いずれも昭和初期の口語短歌運動の再来と言える。ライトヴァースの傾向が強い点でも、この2つは共通している。 3つめは、散文化に走らず、字余り・字足らずを抑えた、より定型意識の強い口語短歌作品である。この中心は結社歌壇ではなく、ネット短歌など、結社には無所属の歌人であった。 これら口語短歌の新たな動きを受けて、塚本邦雄や岡井隆のようなそれまで文語表現を主にしてきたベテラン歌人までもが大幅な口語表現を採用するに至った。
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