昆虫ゼリー
昆虫ゼリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 08:44 UTC 版)
クワガタムシ、カブトムシ用に樹液の代替品として開発された餌である。クワガタムシ飼育ブームの以前から、夏休みに子供が採集したクワガタムシやカブトムシを短期間飼育するための用途で開発、販売されていた。市販されているカラフルなものはそうした古典的なタイプで、安価だがその分防腐剤がたくさん入っていたり、単純に糖分の水溶液を寒天で固めたのみの栄養素に偏りがあるものが多い。なお、防腐剤が入っているか調べるためには、小さいゴキブリを捕まえてきて与えてみて死亡すれば入っていると判断することができる。尚、これらの防腐剤は人体には無害な物が多いが、誤食には注意を要する。 飼育ブームの到来以来、飼育愛好家のより高度な要求に応じて以下のような特殊なゼリーが開発、市販されるに至った。3層になっているもの、プロポリスを配合したものなどユニークなものも多い。黒糖ゼリー黒褐色のものが多い。本来自然下で餌とする樹液の成分をヒントにして作られた。嗜好性に重点を置いている。栄養価は高いが、口ブラシの固化が指摘されている。 高タンパクゼリー乳白色や薄黄色のものが多い。栄養に重点を置いている。メスの産卵時にタンパク質を必要とすることから考案された。高値であるため、産卵用のメスなど特定のクワガタムシに与えることが多い。 寒天にヨーグルト、果汁などを混ぜ自作する方法があるが、手間がかかる割に日持ちしないため、市販のもので十分とされる。 他にも以下の関連商品がある。餌皿(皿木)昆虫ゼリーをそのままマットの上に置くとマットがついて汚れてしまうほか、マットにも汁がついて不潔になりやすく、またクワガタムシにとっても食べにくい。そのため円盤型に輪切りにした木の切り口に昆虫ゼリーが入るような穴を数箇所空けた餌皿が市販されている。 ゼリーカッター昆虫ゼリーの蓋に十字型の切れ込みを入れる道具。昆虫ゼリーの蓋を開けて液が飛び散るのを防げるほか、中身がこぼれない、マットまみれにならないなどの利点がある。 ゼリースプリッター昆虫ゼリーは底が深く、長い大アゴを持つクワガタムシでは底の方まで食べきることが出来ない。また無理に頭部を突っ込んで大アゴが底を突き破り、抜けなくなる事故も見られる。そこでゼリーを縦に割ることのできる器械が市販されている。 昆虫ゼリーはいかにも人工物であるため嫌う愛好家も存在し、代わりに天然の樹液に似せて作られた人工樹液も売られているが、利便性は昆虫ゼリーに劣る。
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