推移曲面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 07:21 UTC 版)
一葉双曲面 双円錐面 二葉双曲面 群 G が空間 V に作用するとき、曲面 S ⊂ V が推移曲面 (surface of transitivity) であるとは、S が G の下で不変、つまり gs ∈ S が任意の g ∈ G と s ∈ S に対して成り立ち、かつ任意の二点 s1, s2 ∈ S に対してある g ∈ G が存在して gs1 = s2 が成り立つことをいう。ローレンツ群は定義により二次形式 Q ( x ) = x 0 2 − x 1 2 − x 2 2 − x 3 2 {\displaystyle Q(x)=x_{0}^{2}-x_{1}^{2}-x_{2}^{2}-x_{3}^{2}} を保つ。順時ローレンツ群 O+(1, 3) の時空上の推移曲面 Q(x) = const. には次の場合がある。 Q(x) > 0, x0 > 0 の場合、二葉双曲面の上側部分。 Q(x) > 0, x0 < 0 の場合、二葉双曲面の下側部分。 Q(x) = 0, x0> 0 の場合、光円錐の上側部分。 Q(x) = 0, x0 < 0 の場合、光円錐の下側部分。 Q(x) < 0 の場合、一葉双曲面。 原点 x0 = x1 = x2 = x3 = 0。 これらの(超)曲面は三次元であり、画像は正確なものではなく、O+(1, 2) についての対応する事実に対して忠実なものである。ローレンツ群全体に対しては、推移曲面は四種類のみとなる。双曲面および双円錐の上側から下側およびその逆に移す変換 T が存在するからである。 これらの知見は、ローレンツ群の全ての無限次元ユニタリ表現(英語版)を、そして実はポアンカレ群のそれを、誘導表現(英語版)の方法を用いて見付けるためのよい出発点となる。まず、各推移曲面に一つずつ「標準ベクトル」を選び、どの部分群がそれを保存するかを調べる。これらの部分群を物理学者は小群と呼ぶ。 問題は、より簡単な、小群の表現を見つけるという問題に帰着される。例えば、二葉双曲面の標準ベクトルは (m, 0, 0, 0) の形で選ぶことができる。各 m ≠ 0 に対して、このベクトルはちょうど1つの葉に属する。この場合、小群は回転群 SO(3) であり、その全ての表現は既知である。正に粒子が変換される無現次元ユニタリ表現がその分類の一部である。必ずしも全ての表現が(既知の)物理的粒子に対応づけられるわけではない。一葉双曲面の標準ベクトルはタキオンに対応する。光円錐上の粒子は光子や、仮説の段階ではあるが重力子である。原点に対応する「粒子」は真空である。
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