微小管の伸長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/11 08:44 UTC 版)
微小管には方向性があり、チューブリン二量体が付加しやすい側を+(プラス)端、解離しやすい側を-(マイナス)端と呼ぶ(微小管はチューブリンの付加により伸長し、解離により短縮される)。+端と-端では付加の速度が二倍程度違う。付加・解離の速度は遊離チューブリンの濃度によって決まり、高濃度の場合はいずれの端でも付加が起こる。濃度の低下とともにまず-端での付加が止まり、低濃度ではいずれの端でも解離が進む。伸長と解離の速度が等しく、全体に平衡状態となる濃度を臨界濃度と呼ぶ。微小管の見かけ上の長さが変化しない場合でも、常に+端での伸長と-端での短縮が起こっており、この状態をトレッドミルと呼ぶ。なお微小管+端においても臨界濃度以上の遊離チューブリンが存在していれば必ずしも伸長が続くというわけではなく、重合を続けていた微小管が突如 急激な脱重合 (catastroph) を起こすことがあり、これを動的不安定性 (dynamic instability) と呼んでいる。 この微小管の伸長と短縮(微小管のダイナミクスとも呼ばれる)は、微小管結合タンパク質 (MAPs) によって様々に変化する。微小管を安定化するもの、微小管を切断するもの、微小管同士を結合するものなどがある。 微小管は、その-端を中心体に置き、重合の場である+端を細胞内の様々な領域に伸ばすことが多い。なお、中心体を構成する中心子自体、9対の三連微小管が環状に配置したものである。また、中心体にはγチューブリンが含まれ、このγチューブリンに結合する形で微小管が伸長する。
※この「微小管の伸長」の解説は、「微小管」の解説の一部です。
「微小管の伸長」を含む「微小管」の記事については、「微小管」の概要を参照ください。
- 微小管の伸長のページへのリンク