形容語句とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 言葉 > 語句 > 形容語句の意味・解説 

形容語句

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/19 07:13 UTC 版)

形容語句(けいようごく、ギリシャ語: ἐπίθετον, ラテン語epithetonエピテトン 「課された」の意〕, 英語epithetエピセット〕)または添え名あだ名とは、実在の人物、架空の人物、神々、物などにつけられた決まり文句()を指す。対象によってニュアンスは異なる。

  • 足の速いアキレウス(podas ôkus Achilleus) - ホメロス『イーリアス』第18歌.97

言語学

言語学における形容語句は隠喩的で、基本的に同格の縮小または圧縮であることが多い。名誉のあだ名として人名に添えられたり、人名の代わりに用いられることもある。形容語句は長く使われることによってその名詞と結びつき、他では使われなくなることもある。あらゆる形容詞が形容語句に、ましてやクリシェ(常套句)になるわけではない。たとえば「雲を集めるゼウスcloud-gathering Zeus)」という形容語句を嵐を喚起させること以外で用いた場合、その機能は装飾的である。ウォルター・バーカート(Walter Burkert)はこう述べている。「形容語句は、直接の文脈にとって必要でも、その雛形になるのでもない限り、装飾的なものである。とりわけ、半分しかない韻文を引き延ばす時には強い味方となる」[1]

epitheton necessariumと呼ばれる形容語句は、在任中の君主を区別する必要から、名前の後につけられる序数詞(1世、2世)の代用として使われた。

  • リチャード1世(Richard I) → 獅子心王リチャード(Richard the Lionheart
  • カール3世(Karl III) → 肥満王カール(Karl der Dicke
  • シャルル2世(Charles II) → 禿頭王シャルル(Charles le Chauve

epitheton ornansと呼ばれる形容語句は、とくに重大な混乱を招くことなく省略が可能である。たとえば、ウェルギリウスが『アエネアス』の中で、主人公アエネアスの部下アカーテスにつけられた形容語句「忠実なアカーテス(fidus Achates)」のようなものである。

文学

形容語句は、ホメロスEpithets in Homer参照)や北ヨーロッパのサガなど、古代の叙事詩には特徴的なものだった。ジェームズ・ジョイスの『若き芸術家の肖像』に出てくる「鼻水の緑の海(the snot-green sea)」という句の元になったのは、ホメロスの有名な形容語句「ワインの黒い海(the wine-dark sea)」である[2]

宗教

古代ギリシア・ローマのような多神教宗教では、神の特性・役割を反映させた形容語句が作られた。もし特性・役割がひとつでなければ、形容語句も複数作られた。「アテーナーはポリアス(Athena polias)として都市を保護し、エルガネ(Athena ergane)として手仕事を監督し、プロマコス(Athena promachos)として戦いに加わり、ニケ(Athena nike)として勝利をもたらした」[3]

他にも、地方に限定された、神話的な生誕地、特定の祭、特定の聖域のNumen(神、精霊)に言及した形容語句がある。

さらに、オリュンポスの神々に古き神々の名前が形容語句として与えられる場合もある。

  • アルテミス・オルティア(Artemis Orthia

くだけた使い方

くだけた使い方として、「形容語句」は誰かを侮辱するために使われる軽蔑的な語句を意味すると、Martin Manser[4]ら言語学者は指摘している。例として、「人種的形容語句(racial epithet)」といった使われ方がある。

脚注

  1. ^ W. Burkert, The Orientalizing Revolution: Near Eastern Influence on Greek Culture of the Early Archaic Age 1992, p 116.
  2. ^ Epithet at literaryzone.com
  3. ^ Walter Burkert, Greek Religion (Harvard University Press, 1985) III.4.4. "The special character of Greek anthropomorphism", especially p. 184.
  4. ^ Manser, Martin H. (2007), Good Word Guide sixth edition, A&C Black, 147 ISBN 978-0-7136-7759-1

関連項目


形容語句

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 09:14 UTC 版)

ケティシュ」の記事における「形容語句」の解説

この女神のために使われ称号の中で、ケティシュは「神々女主人」、「天上星々貴婦人」、「プタハ寵児」、「偉大な魔法星々女主人」、そして「ラーの目、彼女の敵はいない」と呼ばれた

※この「形容語句」の解説は、「ケティシュ」の解説の一部です。
「形容語句」を含む「ケティシュ」の記事については、「ケティシュ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「形容語句」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「形容語句」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



形容語句と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「形容語句」の関連用語











形容語句のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



形容語句のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの形容語句 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのケティシュ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS