幻燈機とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 工業 > 装置 > 装置 > 幻燈機の意味・解説 

げんとう‐き【幻灯機】

読み方:げんとうき

幻灯映写する装置スライド映写機


幻灯機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/26 18:44 UTC 版)

幻灯機
幻灯機の構造図

幻灯機(げんとうき、英語: magic lantern)とは、ランプレンズを使って、ガラスに描かれた画像を適当な幕に投影するスライド映写機の原型にあたる機械、あるいはその後身であるスライド映写機の古典的呼称である。

ジョゼフ・ニーダムによれば、2世紀中国で既に幻灯機が文献に現れているとされている。西洋では、15世紀以前からランタンによってイメージを拡大投影する装置が作り出されていたが、それにレンズとスライドの機構を取り入れた幻灯機の再発明には、イエズス会アタナシウス・キルヒャー[1]、オランダ人プロテスタントのクリスティアーン・ホイヘンスが貢献したと言われている[2]

17世紀半ばに登場したは幻灯機はヨーロッパ各地に拡がり、旅芸人修道士、学者、眼鏡商などによって興行布教、講演などに使用された[2]1670年代にはイエズス会士クローディオ・フィリッポ・グリマルディノルウェー語版が、の皇帝の前で上演を行った記録がある。

18世紀にはオランダの数学者ピエール・ファン・ムッセンによって投影されるイメージを動かす方法が考案され、スモークや恐怖を煽る音楽など奇術的な効果を組み合わせたファンタスマゴリアというショーに発展した[2]。ファンタスマゴリアはパリで大流行し、その模倣はヨーロッパ全域に拡がった。

イギリスでは幻灯機を使った巡回上映が盛んとなった。スライドには特殊効果を施したものもあり、複数枚のスライドを重ねたり、一部を回転させたりといった手法が用いられた。子供に人気のあった有名なものとして、The Rat Swallowerがある。これはラットが列をなして眠っている男の口に飛び込んでいくという内容であった。ナポレオン戦争のころには、イギリスの戦艦とフランスの戦艦が戦ってフランスの戦艦が沈むという愛国心をかきたてる内容のものが人気となった。

写真の発明によってスライドの制作や複製が安価に行えるようになり、画像のレパートリーも劇的に増えた。19世紀には異国の風景やランドマークの映像を投影し、弁士が解説する「トラヴェローグ」というスライドショーが人気を集めた[2]。最も有名なトラヴェローグのひとつに、アメリカで行われたバートン・ホームズ英語版の行った興行がある。 また、一連の写真で著名人の成功譚や道徳譚を構成させて販売したものや、都市部では壁面空間をスクリーンとした屋外広告も行われるようになった[2]。 19世紀の幻灯機とスライドの市場は映画の発明と共に映画に移っていき、残された幻灯機やスライドは好事家の収集の対象となっている。

日本に幻灯機が知られるようになったのは18世紀と言われ[2]、たとえば1779年(安永8年)に刊行された手品の解説書『天狗通』には「影絵眼鏡」の名称で幻灯機が紹介されている。1803年には幻灯機を使ったオランダ渡来の「エキマン鏡」という見世物が行われ、それを見た都屋都楽が「写し絵」という名で寄席に取り入れ、以来幻灯は寄席芸として成立した[2]

幻灯機は明治時代になって普及し明治20年代には幻灯ブームもみられた[3]。各地では幻灯会が開催されたほか、学校では視聴覚教材としても利用された[4]

脚注

  1. ^ Ars magna lucis et umbrae : in decem libros digesta ; quibus admirandae lucis et umbrae in mundo / Athanasii Kircheri, 1646. ECHO(European Cultural Heritage Online)所収
  2. ^ a b c d e f g 大久保遼 飯田豊(編)『メディア技術史:デジタル社会の系譜と行方』 改訂版第1刷 北樹出版 2017 pp.31-33,40-45.
  3. ^ 教材として活用し得る民俗資料 幻灯機 横須賀市教育研究所
  4. ^ 幻灯機 相馬デジタルミュージアム

関連項目


幻灯機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:24 UTC 版)

怪人二十面相」の記事における「幻灯機」の解説

幻灯機による投影で、人体消失怪異現象演出する

※この「幻灯機」の解説は、「怪人二十面相」の解説の一部です。
「幻灯機」を含む「怪人二十面相」の記事については、「怪人二十面相」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「幻燈機」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

幻灯機

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 00:52 UTC 版)

名詞

幻灯 げんとうき

  1. 幻灯映写する装置

発音(?)

げ↗んと↘ーき

「幻灯機」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



幻燈機と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「幻燈機」の関連用語




4
34% |||||




8
18% |||||



幻燈機のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



幻燈機のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの幻灯機 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの怪人二十面相 (改訂履歴)、アニメーションの歴史 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの幻灯機 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS