失敗・分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 21:53 UTC 版)
21世紀にはいり、キリスト教と同性愛を巡る問題など、キリスト教内での見解の差異が深刻化していく中、エキュメニズムも大きな影響を受けている。 リベラル化する米国聖公会に対して、批判を鮮明にする保守派が分裂して北米聖公会を形成。アングリカン・コミュニオン全体に分裂が顕在化している。 リベラル化する英国国教会に対して不満を抱く保守派をバチカンが受け入れる意向を示したことに対し、英国国教会のカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズは懸念を表明。一部からは「エキュメニズムの失敗」とまで評される事態に陥っている。エキュメニズムはキリスト教のカトリック化をすすめローマ教皇の至上権を押し付けるものだとする反発が正教会保守派などにもみられるが、2010年1月14日に教皇ベネディクト16世はアングリカン・コミュニオン諸教会の現状に不満を持つ人々を集団で受け入れる事を確認。これをエキュメニズム(教会一致)の「究極の目的」と述べた。 2010年には400万人以上の教会員を擁していたアメリカ福音ルター派教会 (ELCA) でも保守派とリベラルの内部対立が起き、2010年8月、ついに分裂に至った。新組織結成に向けて『ルサランCORE』を準備組織として活動していた保守派はオハイオ州で8月26日・27日に開催された年次会議で、「北米ルター派教会」NALC)(英語版)として発足することを決定。2018年現在、北米ルター派教会 (NALC) には約14万人の信徒と424の教会が属している。保守派の脱退によって、アメリカ福音ルター派教会 (ELCA) の教会員数は2018年には340万人にまで減った。北米ルター派教会(NALC)発足会議には、タンザニアの福音ルター派教会、エチオピアの福音ルター派教会ミケーネ・イエススの代表も出席、1100人以上が出席した。タンザニア、エヒオピアの両派は合わせると信徒は530万人であり、ルター派世界連盟 (LWB) 内ではそれぞれ2位、3位の規模をもつ。 このように、超教派のエキュメニズム以前に、各教派内・教派間における対立が、様々な見解の差異から発生しているのが世界の現状である。
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