口かみ酒(くちかみしゅ)
昔、コメまたは雑穀などを口でかんで吐き出し、それを発酵させてつくった酒。穀類のデンプンを唾液のアミラーゼで糖化させたものである。村落共同体儀礼に際して酒をかみつくる風俗は、古代中国、日本はもとより、台湾、メラシネア、ミクロネシア、ポリネシア、南アメリカなど環太平洋地域の原住民に広く分布していた。中部日本においては大正年間まで口かみの酒をつくる習俗が遺(のこ)っていたといわれ、また沖縄諸島では一九世紀まで口かみの酒が神酒として用いられた。沖縄の口かみの酒には、カメンコ、ガメン、ガメンコ、ガメンシルマシ、ノマイミキと呼ばれるものがあった。口かみ酒を醸す習俗はすでに失われたが、近代以降も口かみ酒以外の手づくりの神酒をつくって神供する習俗は沖縄各地に残っており、そのつくり方は九種にのぼる。
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