取得時効の機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:32 UTC 版)
「取得時効 (日本法)」の記事における「取得時効の機能」の解説
取得時効が機能する場面は星野英一(民法学者、東京大学名誉教授)の研究以来、以下の三つに分類される。 不動産を入手した契約は有効だが登記がない(二重譲渡などの「有効未登記型」) 不動産の取得原因が無効、または存在しない(裁判で認定されなかった場合も含む。「原因無効・不存在型」) 土地境界線の紛争(「境界紛争型」) 上記1と2の場合は、取引の安全(短期取得時効)又は永続した事実状態の尊重(長期取得時効)という観点から取得時効が機能しており、3の場合は、真の権利者保護の機能(長期取得時効)という観点から取得時効が機能しているという。星野説は、この取得時効の現実の機能と,本来のあるべき姿(取得時効の存在理由)とを区別すべきであるとされ,真の権利者保護という点をその存在理由として重視しており、近時の有力な見解でもある(他に石田穣、藤原弘道、草野元己などの学者が星野説の存在理由に賛成している)。なお,最近では、法政策学ないし「法と経済学」という外的視点から取得時効の存在理由にアプローチし、永続する事実状態の尊重は、社会的余剰最大化という観点(財の効率的利用の観点)から正当化されるのではないかとする見解もみられる。
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