反射と屈折
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古代の幾何学的な視覚の理論の重要な話題に、反射や屈折による像の反転や変形の問題があった。これらの問題において、イブン・ハイサムは幾何学者としての手腕を余すことなく発揮している。 まず反射光学(catoptrics)では、球面鏡での反射に関する「アルハーゼンの問題」(en:Alhazen's problem、アルハゼンの定理)の円錐曲線を用いた解の構成方法を与え、この解を用いて球面鏡、円筒鏡および円錐鏡による像を解析した。なお、イブン・ハイサム自身は代数学と幾何的に未知な量を求める問題を別の分野の学問と考えており、この問題は純粋に幾何学的に扱っている。この「アルハーゼンの問題」は17世紀欧州の数学者たちの興味を引き、ホイヘンスが非常にエレガントな別解を与えている。 屈折光学に於いては、入射角と屈折角の間に成り立つ定性的な関係や不等式をいくつか提示し、それらに基づいて巧妙に球面レンズによる像の拡大や収差などの、光の経路の幾何学的な性質を詳しく論じている。これらの洗練された理論は、のちにTheodoric of Freiberg(英語版)やal-Fārisī(英語版)の虹の研究の土台になる。 屈折の法則の実験的な研究は、彼の主要な業績として紹介されることがある。しかし、彼の実験のスキームには様々な難点が指摘されており、十分な精度は得られなかったと思われ、実際には実施しなかったとする見解もある。『光学の書』には、実験の結果の記載はなく、理論で用いている関係式や数値は、プトレマイオス『光学』の屈折についての数表と整合的である。ただし、プトレマイオスの実験が本質的に視線の屈折を対象にしているのに対して、イブン・ハイサムは光線の入射角や屈折角の直接の計測を意図している点は新しい。なお、プトレマイオスの数表は現代の屈折の理論の良好な近似になっており、イブン・ハイサムの用いた関係式や結論も概ね正しい。 また、イブン・ハイサムの屈折光学は、近代以前に於いては突出していることは事実である。古代でも中世でも、彼以前は、イブン・サフル(英語版)を例外として、プトレマイオス『光学』はあまり用いられず、屈折と反射の概念上の区別すら曖昧で、混乱した記述が多くなされていた。彼の『光学の書』は、屈折光学の信頼できる希少な典拠であった。 地平線近辺で天体が拡大されて見える「月の錯視」を地表面近くの水蒸気を多く含んだ大気による屈折と、心理学的な効果の双方で説明しようとした。
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反射と屈折
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六角板氷晶 120度幻日 映環天頂アーク - 環天頂アークに対応し、水平線下に対称に現れる。 映環水平アーク - 環水平アークに対応し、水平線下に対称に現れる。 映幻日 映幻日環 カーンアーク - 必ず環天頂アークと同時に出現する。 六角柱氷晶 映日アーク 向日 向日アークウェーゲナーアーク ヘースティングアーク トリッカーアーク グリーンラーアーク 対日アーク(映向日アーク)
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