交通流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/11 22:20 UTC 版)
ルール184の1のセルを車両とすると、1車線の車両のように振る舞う。車両は前方が空いていれば1マス進み、空いていなければ止まる。ルール184のような交通流モデルや同様に空間と時間の両方を離散化した一般化は、パーティクルホッピングモデル(particle-hopping model)と呼ばれる。非常に原始的なモデルであるが、ルール184のモデルは実際の交通に見られる身近な現象をすでに予測している。交通量が少ないときには車両は自由に動き、交通量が増加すると少し進んでは停止するような渋滞が見られる。 ルール184が初めて用いられた場所を特定することは難しい。なぜなら、この分野の研究は極度に数学的抽象化を行うことには焦点があてられず、モデルのもっともらしさに焦点が当てられたため、セル・オートマトンの交通流シミュレーションの論文では実際の交通をより正確にシミュレートするためにより複雑なモデルが用いられたからである。それにもかかわらず、ルール184はセル・オートマトンを用いた交通流シミュレーションの基礎である。例えば Wang, Kwong & Hui (1998)は「1次元交通流問題を表す基礎的なセル・オートマトンはルール184である」と述べている。 Nagel (1996) は「交通流を扱うセル・オートマトンの多くはこのモデルに基づいている」と書いている。複数の速度で車両が動く1次元モデルを扱う場合があるが、同一の速度であればルール184に縮退する 。Gaylord & Nishidate (1996) はルール184を拡張し、車線変更を含む2車線の交通流モデルを構築した。このモデルではルール184とその左右・0-1対称を用いている。Biham, Middleton & Levine (1992) は本質的にルール184に従う車線のダイナミクスを用いた2次元の街のグリッドモデルを用いた。より詳しいセル・オートマトンによる交通流シミュレーションのモデルと統計力学については Maerivoet & De Moor (2005) と Chowdhury, Santen & Schadschneider (2000)を参照。 ルール184を交通流モデルとして考えるとき、車両の平均速度が注目される。車両の密度が50%未満であれば、平均速度は単位時間に1マスへと収束する。しかし、車両の密度が1/2を超えると、平均速度は密度 ρに対して 1 − ρ ρ {\displaystyle {\tfrac {1-\rho }{\rho }}} となり、ρ = 1/2において相転移が生じる。ルール184が ρ = 1/2のランダムな初期状態から開始する場合、平均速度はステップ数の平方根に従って定常状態に近づく。密度が50%ではない場合には、平均速度には指数関数的に近づく。
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