主室
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/07 13:59 UTC 版)
会所では、付書院とか違い棚とか押板とか、唐物の飾りの場としての性質、後世の書院造につながる設備が注目されるが、そういったものがあるのは、附属の小部屋である。会所の本質たる主室には、もともとの会所としての機能、寄合の場としての機能をたもっていたので、そういう飾るための設備がない。行幸など、特別のときは、置押板を設置して飾りつけをした。主室が、主に九間の正方形をしていたのは、この世の浄土を目指した阿弥陀堂に起源を持つという。 今に残る会所にも、そのことは伺える。大阪市平野区の杭全神社には、いまも連歌会所(連歌所)が残っている。これは江戸時代、宝永5年の建築であり、いまでも連歌会につかわれている。六間の大きさで、その内部をみると、正面中央に押板床がある以外は、扁額三十六歌仙絵が飾られるだけの、何もない空間である。また、宇陀市室生染田には、中世から伝統が続く染田天神講の連歌堂があるが、やはり江戸時代に建てられたもので、これも内部には何もない。このような何もない空間は、上下なく平等性を重んじる連歌を張行する場にふさわしかった。 また、落間や広庇もつかなかった。それは、身分の低い、例えば同朋衆が、連歌や闘茶などの遊びの際に同席して、同じ空間を共有できる場として、会所があったからである。以下、詳説する。
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