スタンダールとは? わかりやすく解説

スタンダール【Stendhal】

読み方:すたんだーる

[1783〜1842]フランス小説家本名マリーアンリベールMarie Henri Beyle)。社会批判心理描写にすぐれ、近代リアリズム小説先駆者とされる小説赤と黒」「パルムの僧院」、評論恋愛論」など。


スタンダール

名前 Stendhal; Standal

スタンダール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/04 17:18 UTC 版)

スタンダール
Marie-Henri Beyle
誕生 (1783-01-23) 1783年1月23日
フランス王国 グルノーブル
死没 (1842-03-23) 1842年3月23日(59歳没)
フランス王国 パリ
職業 小説家
文学活動 ロマン主義
写実主義
代表作恋愛論』(1822年)
『ヴァニナ・ヴァニニ』(1929年)
赤と黒』(1830年)
『リュシアン・ルーヴェン』(1835年)
パルムの僧院』(1839年)
サイン
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スタンダールの墓(モンマルトル墓地)

スタンダール(Stendhal、1783年1月23日 - 1842年3月23日)は、グルノーブル出身のフランス小説家評論家。本名はマリ=アンリ・ベール(Marie Henri Beyle)という。ペンネームのスタンダールはドイツの小都市シュテンダルに由来すると言われている。

近代小説の開祖の一人とみなされている大作家。理工科志望を放棄して、軍人となった。ナポレオン失脚後はミラノに移住して作品を書いた。しかし政治風刺と恋愛心理を分析する新傾向の小説は、生前は売れなかった。その墓には自ら選んだ銘句「生きた、書いた、恋した」が刻まれている。作品に、主人公ジュリアン・ソレルで有名な『赤と黒』のほか、『パルムの僧院』、評論『恋愛論』がある。

経歴

1812年のナポレオンのロシア遠征からの撤退中にスタンダールが滞在したヴィリニュスの建物にある銘
シェルバン・ベールの肖像画(1800年頃)

グルノーブル高等法院の弁護士シェルバン・ベールの子として生まれる。母方の実家も地元の名士であり、スタンダールは幼少期を地方の名士の子として何不自由なく暮らした。7歳の時に亡くなった母を終生、異常なまでに偏愛し続け、その反動で、実務家で王党派の父を激しく憎み続けた。そのため、スタンダールは父とは正反対のロマンチストの共和主義者として、その後の生涯を送る事になる。

父の期待を受けて勉学にいそしんだスタンダールは、1799年、優秀な成績で理工科学校の入学試験に合格する。しかし、慣れないパリの生活でノイローゼになり、母方の祖父のアンリ・ガニョンの従兄弟のノエル・ダリュの家に引き取られる。ダリュの息子が当時、陸軍省事務次官をつとめていた関係から、スタンダールはダリュの口利きで陸軍少尉に任官し、イタリア遠征に参加した。母方のガニョン家がイタリア系だったこともあり、元来、イタリアに憧れを持っていたスタンダールは遠征先のイタリアを気に入り、以後、イタリアを第二の故郷とみなすようになる。なお、祖国・フランスは父のイメージと重なるためか、生涯好きになる事は出来なかった。

軍人となったスタンダールだったが、実際にはに乗る事もを振るう事も出来ず、もっぱら女遊びと観劇にうつつをぬかしていたと言われる。1802年、軍を辞め、輸入問屋に勤めたりしたが、大陸封鎖令によって海外貿易が途絶してしまったため、1806年、ダリュを頼って、陸軍主計官補の仕事を得、その後は官僚として順調に出世し、1810年には帝室財務監査官にまで昇進する。その後も経理畑を歩んでいくが、ナポレオン・ボナパルトの没落によって、スタンダール自身も没落する。

その後はフリーのジャーナリストとして、活躍する。ナポレオン没落後、イタリアに渡り、現地の自由主義者と親交を結ぶが、やがて「スタンダールはフランスのスパイだ」という噂が広まり、失意のうちにフランスに帰国している。

不遇の時代に、スタンダールは1822年、39歳の時に『恋愛論』、1830年に『赤と黒』を発表している。特に、元神学生による殺人未遂事件を素材に、野心に燃える青年の成功と挫折を描いた代表作『赤と黒』は、当時は評判にはならなかったが、王政復古下のフランス社会を鋭く批判したものであり、彼の政治思想の真骨頂がよく表現されている。

1830年七月革命が勃発すると、自由主義者として知られていたスタンダールに再び政治の世界から声がかかるようになり、トリエステ駐在フランス領事に任命された。しかし、オーストリアの宰相・メッテルニヒの承認が得られなかったため、ローマ教皇領チヴィタヴェッキア駐在フランス領事に転じた。1836年から39年まで休暇をとってパリに戻り、『パルムの僧院』を書いた。

1842年、パリの街頭で脳出血で倒れ、死去。墓所はパリのモンマルトル墓地。墓碑銘は「ミラノ人アッリゴ・ベイレ 書いた 愛した 生きた」である。

主な作品

長編小説

  • アルマンス (Armance, 1827年)初期長編
  • 赤と黒Le Rouge et le Noir, 1830年)
  • リュシアン・ルーヴェン (Lucien Leuwen, 1835年)
  • パルムの僧院La Chartreuse de Parme, 1839年)
  • ラミエル (Lamiel, 1839–1842年)未完

中編小説

  • ヴァニナ・ヴァニニ (Vanina Vanini, 1829年)
  • ミーナ・ド・ヴァンゲル (Mina de Vanghel, 1830年)
  • イタリア年代記 (Chroniques italiennes, 1837-1839年に発表された4篇、および上記『ヴァニナ・ヴァニニ』や生前未発表の作品を合わせた8篇)
    • カストロの尼 (L’Abbesse de Castro, 1839年)
    • チェンチ一族Les Cenci, 1837年)ほか

自伝

  • エゴティスムの回想 (Souvenirs d'Égotisme)未完
  • アンリ・ブリュラールの生涯 (Vie de Henry Brulard)未完

ノンフィクション

  • ハイドンモーツァルトメタスタジオ伝 (Vies de Haydn, Mozart et Métastase, 1815年) ボンベの偽名によって自費出版したスタンダールのデビュー作だが、内容は多くカルパーニ (Giuseppe Carpaniのハイドン伝の剽窃。
  • イタリア絵画史 (L'Histoire de la peinture, 1817年)、富永惣一吉川逸治訳(全集9)
  • ローマ、ナポリ、フィレンツェ イタリア紀行 (Rome, Naples et Florence, 1817年)。この作品ではじめてスタンダールの筆名を使用した。臼田紘訳、新評論
  • ナポレオン伝 (Vie de Napoléon, 1817-1818年)、佐藤正彰訳と西川長夫訳(全集11)がある。
  • 恋愛論De l'amour, 1822年)、訳書多数
  • ロッシーニ伝 (Vie de Rossini, 1823年)、山辺雅彦訳、みすず書房
  • ラシーヌとシェイクスピア(Racine et Shakespeare, 1823-1825年)。古典主義に対してロマン主義を支持した文章として有名。佐藤正彰訳
  • イタリア旅日記 ローマ、ナポリ、フィレンツェ (1826年)。上記の大幅な改訂版、臼田紘訳、新評論 全2巻
  • ローマ散歩 (Promenades dans Rome, 1829年)、臼田紘訳、新評論 全2巻
  • 南仏旅日記 (Voyage dans le Midi de la France, 1930年)、山辺雅彦訳、新評論
  • ある旅行者の手記 (Mémoires d'un touriste, 1838年)、山辺雅彦訳、新評論 全2巻
  • イタリア日記〈1811〉、臼田紘訳、新評論

作品集(訳書)

  • 『スタンダール全集』全12巻
人文書院、1968-73年[2]
  1. 赤と黒
  2. パルムの僧院
  3. リュシアン・ルーヴェン Ⅰ
  4. リュシアン・ルーヴェン Ⅱ 社会的地位
  5. アルマンス
  6. イタリア年代記 ラミエル
  7. アンリ・ブリュラールの生涯
  8. 恋愛論
  9. イタリア絵画史
  10. 文学論集
  11. 評伝集
  12. エゴチスムの回想

伝記

  • 『スタンダールの生涯』、ヴィクトール・デル・リット
鎌田博夫・岩本和子訳、法政大学出版局叢書・ウニベルシタス〉、2007年
  • 『スタンダール 人と思想』、鈴木昭一郎、清水書院、新装版2015年

関連項目

脚注

  1. ^ 作家・作品論『わがスタンダール』がある。岩波書店ほか
  2. ^ 1977-78年に新版、正確には作品選集

外部リンク


スタンダール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/20 07:23 UTC 版)

オグチ・オニェウ」の記事における「スタンダール」の解説

20歳欧州リーグプレーし2004年移籍したスタンダール・リエージュブレイク。5シーズン179試合出場し16ゴール挙げ2007-082008-09シーズンジュピラー・リーグ連覇貢献した

※この「スタンダール」の解説は、「オグチ・オニェウ」の解説の一部です。
「スタンダール」を含む「オグチ・オニェウ」の記事については、「オグチ・オニェウ」の概要を参照ください。

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