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大橋ジム30周年記念

八重樫東語る『大事なのは負けた後、どう立ち上がるか』

八重樫東

(Akira Yaegashi)

プロ通算28勝(16KO)7敗

WBA世界ミニマム級選手権 ポンサワン・ポープラムック対八重樫東 ボープラムックを下し、大橋秀行会長と抱き合って喜ぶ八重樫東=2011年10月24日

川嶋が04年6月に世界王者となった3カ月後、ジムの門をたたいたのが、後の「激闘王」八重樫東だった。アマ2冠のエリートが「大きな経験だった」と振り返るのが、入門直後に参加した静岡・伊東でのジムの合宿。防衛戦を控えた8歳上の川嶋との共同生活には、プロとして生き抜くヒントが詰まっていた。

「長距離、サーキットトレーニング、ジムワークと本当に過酷な合宿でした。僕も若くて瞬発力もあったので、最初の2日間は川嶋さんにも走り勝っていたんですが、3日目には疲労でまったく体が動かなくなったんです。ただ、川嶋さんは最終日まで一切ペースが変わりませんでした。追い越されて、ついていけなくなった瞬間、『これがプロなんだな』と感じたのを今でも覚えています」

離脱者が続出する中、八重樫は足を引きずりながら最後まで川嶋に食らいついた。目の前にいる世界王者との「差」を知ることが、成長の糧になったと語る。

「プロボクサーという職業のピラミッドを、身をもって感じました。世界王者になるために必要な頑丈な体、12ラウンドを戦うためのメンタル、フィジカル。あの合宿がなければ、きっとアマチュア時代の貯金でやっていた。自分に足りないものを実感した大事な経験だったと思いますね」

川嶋の背中を追った八重樫は5戦目で東洋太平洋ミニマム級王座を獲得。7戦目の世界初挑戦こそ失敗も、11年に川嶋に続くジム2人目の世界王者となった。

WBA世界ミニマム級選手権 ポンサワン・ポープラムック対八重樫東 4回、ポンサワン・ポープラムック(右)にパンチを見舞う八重樫東=2011年10月24日

「世界戦は特殊な雰囲気がありますし、予期せぬトラブルも起こります。僕の場合、川嶋さんが世界戦を何度もやったことで、ジムとして経験を積めていたことも大きかったと思います。勝つためには、カットマンやトレーナー、会長とのあうんの呼吸が必要ですし、セコンドワークという意味でも、勝負できる体制が整っていたと感じますね」

八重樫は、13年にフライ級で2階級制覇、15年にはライトフライ級で日本人3人目の3階級制覇を果たした。偉業の裏には、フライ級時代、ジムでしのぎを削った井上尚弥の存在があった。まだ世界に名をとどろかせる前の「怪物」。10歳下の後輩とのスパーリングが、飛躍を後押しした。

「尚弥とのスパーリングがなければ3階級制覇なんて、とてもできなかったと思いますね。あいつに食われないように毎回対策を立てたり、ボクシングスタイルを変えたり。あの3~4年が、自分の力を引き上げてくれたと思っています」

井岡との壮絶な殴り合い、「最強」ローマン・ゴンサレスとの対戦など、逃げない姿でファンを魅了し続けた八重樫。「激闘王」と呼ばれたスタイルは、大橋会長の生き方、教えを体現したものだったという。

「勝負事なので、勝ち負けももちろん大事ですが、会長は『過程』をすごく見ていますし、勝負の先に何があるかまで見ているんです。会長が嫌うのは、過剰に相手の反則をアピールしたり、試合中に相手に弱みを見せることです。勝負から背を向ける人間にチャンスはこないし、大事なのは負けた後、どう立ち上がるか。それは、大橋から教わったことであり、自分がボクサーとして最も大切にしてきたことですね」

八重樫は、19年12月の試合を最後に現役を引退した。川嶋と同じく、最後は世界戦のリングだった。

「会長のおかげで最後まで自分のボクシングをまっとうすることができました。会長は勝てる可能性がある試合しかやらないし『こいつなら何とかするんじゃないか』という算段があるから試合を組むんです。そこにかけてもらえるか、チャンスをつくってもらえるかは結局、練習の姿勢でしかないんです。スポーツ以外の世界でも同じかも知れませんが、自分で機会を選んでいてはだめ。『満を持してにチャンスは来ない』と僕は思っています。会長は見ていないようで、本当に1人1人の選手の練習を見ていますから」

八重樫は引退後、井上のフィジカルを指導しながら、トレーナーとしても大橋ジムを支えている。育ててもらったジムへの恩返しの思いもあるという。

「川嶋さんがジムを引っ張って、大きくしてくれて、その背中を見た僕、細野、岡田の第2世代が、次の尚弥、拓真、原隆二、松本亮にバトンを渡せたのかなと思います。だからこそ、今の若い選手には尚弥が現役のうちにあいつの練習を見て、いろんなことを感じてほしい。3分間のシャドー1つにもたくさんヒントが詰まっていますから」。




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