「ドラえもん2.0」という妄想
日刊スポーツ2006年8月26日付「あなたの考えた道具がドラえもんに登場」。要するに新しい「道具」のアイデア募集、という話なんだが。
とりあえずニュースをかいつまんで。
テレビ朝日系「ドラえもん」(金曜午後7時)が小学館の雑誌、ヤフーのインターネットとの合同企画で、史上最大規模のひみつ道具コンテスト「ドラえもん・ザ・マジック・プロジェクト」を開催することが25日、分かった。
確か、「ドラえもん」の道具のアイデアを一般から募集することは、以前からあったと思う。「史上最大」というのは、テレビ、雑誌、ネットの3部門で長期間にわたって募集する、ということ。なにせ、
テレビ朝日、「コロコロコミック」など児童向けの12の雑誌、ヤフーネットのそれぞれの部門で優秀作品を12作品ずつ選び、その後、部門ごとに「最優秀ノミネート作品」を1つずつ決定して、12月放送の番組内で発表。さらに3部門の最優秀ノミネート作品から、1作品の最優秀作品を選出し、冬の放送で発表する予定だ。
だそうなので。しかも最優秀賞の副賞には自動車がもらえたりするそうだから、その意味でも史上最大だろう。
ここからはただの妄想。
道具のアイデアを一般から募集するといっても、もちろん作り手のアイデアが枯渇したとか、そういうことではないだろう。ファンの関心やロイヤルティを高めるのが主眼とみたほうがいいのではないか。2007年3月には劇場版ドラえもんの新作が劇場公開されるから、そのあたりにピークをもってくる作戦なわけだな。
「ドラえもん」における道具というのは、ある意味でエピソードの中核に近い位置を占める重要な要素だ。ふつうは物語の主要部分を外部のアイデアに依存するのは難しいだろうが、道具ということであれば、比較的なじみやすいというわけだ。ならばいっそ、今後も継続的にアイデアを募集していく、なんていう考え方はありえないだろうか。実際今回のコンテストでも、なんらかのかたちで候補の中から子供たちの人気投票みたいなプロセスが入るはず。いってみれば「ドラえもん2.0」ではないか。コンテンツを消費するだけの「ファンの集まり」から、アイデアを出し合う「コミュニティ」へ移行することで、作品の魅力を高め、寿命を延ばすことにつながるかもしれない。
さらにいうなら、「採用」されなかったアイデアに対しても、それなりの「場」を与えてあげるという発想はありえないか。「ドラえもん」に同人誌とかあるのかどうか知らないが、採用はされなかったものの評価が高かったものに対しては、「外伝」みたいにして作品化して発表する機会を与えるとか。オーソライズされた同人活動、みたいなイメージで。そういうのが「ドラえもん」という作品に向くかどうかはわからないが、少なくとも例の「最終回」とかなんかは、本物の「ドラえもん」世界とは相容れないとしても、実際に放映された最終回とか「結婚前夜」に負けないぐらい魅力的だし、ちゃんとしたかたちで作られたものを見てみたい、と思う。実際に運営するのはけっこう難しいだろうし、知的財産権保護の観点からは受け入れかねる話なのかもしれないが、「ファンとともにあるコンテンツ」という意味ではありうるのではないかという気がする。少なくとも、ファンの立場からすれば、「道具のアイデアを募集」とさほど遠くない地続きのところにある考え方なのではないか。
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