fc2ブログ

統計学に興味を持った理由 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私が統計学に初めて興味を持ったのは
忘れもしない高校3年生のときだった。

私の高校は男子校で、毎年10月10日すぎに文化祭があった。
内容はお世辞にも面白いものとは言えなかったが、
年にたった一度、たくさんの女の子が来るイベント
だったので、毎年盛り上がっていた。

各クラスの出し物は、
男女数人で雑談させてカップリングをする
「フィーリング・カップル」だとか、
暗闇の中で女の子にいたずらをする
「別の意味で怖い」お化け屋敷とか、
どうみても「文化」のかけらも感じられないものだった。

後夜祭では実行委員会が、
「夜道の一人歩きは危険なので一人で帰らないよう」
訪問者に呼びかけ、
溜り場では体育教師がメガホンを持って、
「おまえら、早く決めて帰れ。」
と注意していた。

そんな中、僕は4人の女の子に声をかけて振られ続け、
諦めて友達と帰途についたところ、一人で帰ろうとして
いるかわいい女の子を見つけ、ダメもとで
「晩御飯でも食べて帰らない?」
と声をかけたところ誘いに乗ってくれた。
私はおしゃれなレストランに連れて行きたかったのだが、
その子がどうしてもラーメンを食べたいと言うので
二人でラーメンを食べて帰った。

2~3日後、まぐれ当たりというのもあるものだ、
と思って文化祭の日のことを思い返していたところ、
重要な事実に気付いた。

はじめに、4人の女の子に声をかけて振られた。
この時、ナンパ成功の経験確率は4分の0だから0%だ。
しかし、5回目は成功した。
つまり経験確率は、
「本当の確率」の正しい推定量になっていない!
高校の教科書に書いてある統計学は不十分だと思った。

その日から3日間くらい、授業を聞くのを止めて、
一人でその理由を考えた。
結果、いわゆるベイズ統計学で言うところの
事前分布の概念に辿り着き、
事前分布に一様分布を仮定すると
5回目の成功確率が1/6になることを発見した。
(正確に言うと、一様分布を仮定することだけを思いつき、
一般にn回失敗した場合のn+1目の成功確率が、1/(n+2)
であることを示したと思う。)

その後、数論に興味を持ち始めて
統計への興味はしばらく封印されてしまったが、
奇跡のナンパ成功体験が、
私のその後の学問的興味に
大きな影響を与えた事は言うまでも無い。

一生懸命に統計のことを考えたその3日間は、
16年前のちょうど今頃であった。

面白かったらクリック↓



テーマ : 算数・数学の学習
ジャンル : 学校・教育

コメントの投稿

非公開コメント

高校でベイズ。。。

nerd!!

その後「データ収集」という名で女の子をフリましたってオチですか(笑)?

pure math nerd

統計始めてからはサンプルサイズは大きいほうがいいのかなーとも思いますが、当時は数学少年だったので解の一意性が大事でした。

No title

私は、日本の大学のランキングを作る気になっています。
http://collegeranking.blog107.fc2.com/
どうして日本の大学にはUS News&World Reportのようなランキングがない!
多分、US Newsは多変量析法とか言う手法を使っていると思いますが、どうなんでしょうか?

US News

mantis さん:

何故、この記事へコメントされたのでしょうか(笑)。日本でUS News風の大学ランキングって確かに見ない気がしますね。データが集まらないということなんでしょうね。できたら結構儲かると思います。S News は多変量解析は使っていないんじゃないでしょうか。手置きしたウェイトで、評価項目を加重平均しているだけだと思います。

No title

朝日新聞など大企業の作成する日本の大学ランキングは緻密なものではありますが、US Newsが採用しているような「基本的な」数値データを使っていません。教員一人当たり学生数は何とかなっているが、卒業率すらわからない。Freshman Retention Rateなど、皆目わからない。大学は、当然把握はしているわけですが、公表しようとしない。従って、日本の大学ランキングを作成するには「データを提出せざるを得ない環境、システム」を作ることが必要になってきます。洗練された解析手法があれば、相関関係の有無を推定することができるんだろうか?という疑問があったのでコメントさせていただきました。例えば、教員一人当たりの学生数、や20名未満の学生数の授業の割合、50名以上の学生数の授業の割合、在籍する学生の高校の成績、と卒業率、中退率の相関関係などです。

No title

mantisさん:

アメリカのデータから相関関係を特定して、日本のデータに当てはめても日本の大学ランキングを作るのにはほとんど役に立たないと思います。例えば、日本の大学の卒業率など特定の指標を推定するのが最終目的であればある程度の意味はあると思いますが。

いずれにしても、データが集まらないということは、そういったランキングに対する需要がそれほどないということなのでしょうね。結局、入試偏差値と、企業側の評価、資格試験の合格者数くらいで事足りてしまうということなんでしょう。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

検索フォーム
Twitter

Twitter < > Reload

お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。

2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

全記事表示

全ての記事を表示する

最近のコメント
訪問者数 (UA)
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
35位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
北アメリカ
6位
アクセスランキングを見る>>
人気記事Top10


(はてなブックマークより)

カテゴリー
最近のトラックバック
お勧めブログ