OpenAI、月額3万円の「ChatGPT Pro」発表。年末に向け新機能を続けて紹介へ

OpenAIが新しいサブスクリプション「ChatGPT Pro」を発表した。このプランでは、ChatGPTのツールにほぼ無制限にアクセスできるほか、専用の新しいAIモデルも利用可能である。同社は今週以降も、年末にかけて新機能を発表し続ける予定だ。
The ChatGPT app logo displays on the screen of a smartphone in Reno United States on November 21 2024.
Photograph: Jacque Silva/Getty Images

OpenAIは12月5日(米国時間)、月額200ドル(約3万円)のサブスクリプション「ChatGPT Pro」を発表した。これは同社が「12 Days of OpenAI」と題し、平日12日間にわたって行なう一連の年末発表の第一弾となった。

ChatGPT Proは、同社の人工知能(AI)チャットボットの最上位プランとなる。このプランには、月額20ドル(約3,000円)の既存サブスクリプションに含まれるすべての機能に加え、「GPT-4o」および「o1」のAIモデルへの大幅なアクセス拡大が含まれる。また、ChatGPT Proの契約者は、OpenAIが提供する専用モデル「o1プロ・モード」も利用可能であり、より高い計算能力で回答を処理できる。このプランの年間契約料金は2,400ドル(約36万円)となる。

「ChatGPTのパワーユーザーは、現在非常に頻繁に(ChatGPTを)利用しており、月額20ドル(約3,000円)では賄えない計算能力を求めています」と、最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマンは新プレミアムプラン発表の動画配信中に述べた。この高額な価格設定は多くの消費者にとって驚きかもしれないが、このサブスクリプションは、ほぼ無制限のアクセスを求める熱心なユーザーや、より複雑で負荷の高いタスクにChatGPTを活用したい研究者をターゲットにしている。

既存プランとの違いと価格設定

OpenAIのほかのサブスクリプションプランの価格に変更は、この日の発表ではアナウンスされなかった。無料プランも引き続き提供される。ChatGPTの初の消費者向けサブスクリプション「ChatGPT Plus」は昨年2月に月額20ドル(約3,000円)で初めて導入され、現在もその価格を維持している。Plusプランでは、ChatGPTの新機能や生成AIモデルのほとんどが利用可能であり、無料ユーザーに比べて利用時の制限が緩和されている。ユーザーが1日にChatGPTに送信できるリクエストの数や、高度な音声インターフェイスを利用できる時間は、契約しているサブスクリプションレベルによって決まる。

月額200ドル(約3万円)の新プランは、OpenAIの生成AIモデルをより技術的な作業に活用するユーザーを主なターゲットとしている。「人々は、難しい数学や科学、プログラミングの問題にo1プロモードが最も役立つと感じるでしょう」と、OpenAIの研究者であるジェイソン・ウェイは動画配信中に述べた。

『WIRED』はまだChatGPT Proの機能を実際に試していないため、その具体的な性能については今後検証する予定である。これまでも、ChatGPT Plusのレビューや「高度な音声モード」、「AIのWebブラウジング」などの特定の機能を試してきた。

ChatGPT Pro契約者は、OpenAIが「無制限のアクセス」と呼ぶo1モデルやGPT-4oモデル、高度な音声モード機能を利用できる。しかし、OpenAIは同社の利用規約が適用されることを明確にしており、アカウントの共有や、Proプランを使用した独自サービスの提供は禁止されている。これらの行為はアカウントの停止につながる可能性がある。また、サブスクリプション購入後2週間以内であれば、OpenAIのオンラインヘルプセンターを通じて200ドル(約3万円)の返金をリクエストできる。

o1モデルの正式公開と今後の予定

今回の発表では、これまで限定プレビュー版だったo1モデルが正式に公開されたことも明らかにされた。このモデルは「推論」能力と、ユーザーからの入力を段階的に処理する能力に焦点を当てており、質問への回答が迅速で、画像入力を受けつけ、エラーが減少しているという。OpenAIは今後、o1設定向けにウェブブラウジング機能やファイルアップロード機能を追加する予定だ。

OpenAIは、今週以降も平日に毎日、新しい機能を発表し続ける予定だという。2日目の12月6日(米国時間)には、「強化学習ファインチューニング研究(Reinforcement Fine-Tuning Research Program)」が発表された。これは、開発者や機械学習エンジニアが、特定の専門分野における複雑なタスクに特化したモデルを作成できるようにする取り組みだ。

『The Verge』の報道によると、これらの年末リリースには、OpenAI待望の生成AI動画モデル「Sora」が含まれる可能性がある。また発表のなかには、アルトマンがオンラインでタスクを代行できるAIエージェントについての見解や、2025年に向けた会社の戦略についての洞察も含まれる見込みだ。

(Originally published on wired.com, translated by Eimi Yamamitsu, edited by Mamiko Nakano)

※『WIRED』によるOpenAIの関連記事はこちら。


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