スマートフォンを「ダムフォン」に変える方法

デジタルデトックス実践のため、携帯の通知を無効にし、必要のないアプリを使う時間を減らす手助けしてくれるツールを紹介しよう。
スマートフォンを「ダムフォン」に変える方法
Photo-Illustration: Wired Staff; Getty

初代iPhoneが発売された2007年ごろ、スマートフォンというデバイスはその革命的な多機能性が魅力とされていた。しかし、約20年が経過したいまでは、集中力を奪うデバイスとなり、多くのユーザーから不満の声が上がっている。

最近では、SNSやメッセージアプリ、人工知能(AI)が生成する大量のコンテンツから逃れようと、意図的にフィーチャーフォン(ガラケー)に戻る人も増えてきた。カーナビやカメラなどの基本的な機能に特化し、データの洪水を抑えることができるスマートフォンも登場している。

とはいえ、新しいデバイスをわざわざ購入する必要はない。特定のアプリをインストールし、設定を少し変更するだけで、いまでも静かな生活を手に入れ、集中力を取り戻すことが可能だ。ここでは、iPhoneやAndroidを機能限定の「ダムフォン」に変えるための方法を紹介する。

iPhone

iPhoneを最もシンプルな要素に絞ってくれるアプリ、「DumbPhone: ミニマルなホーム画面」では、メニューをシンプルなテキストリストとして表示できる。通知はもちろん、わずらわしいアイコンも隠してくれる。日本では400円でダウンロード可能だ。

セットアップには少し手間がかかるが、アプリ内にわかりやすい説明やハウツー動画がある。まずは必要なアプリを選び(1画面あたり最大6つ)、DumbPhoneウィジェットをホーム画面に追加する。ホーム画面の空いている部分を長押しして「編集」を選び、「ウィジェットを追加」をタップすれば完了だ。レイアウト調整用のスペーサーウィジェットも含まれている。

シンプルでカスタマイズできるDumb Phone のインタフェース。

次に、DumbPhoneの壁紙を設定し、iPhoneの「設定」内の「画面表示と明るさ」からダークモードに切り替える。また、ホーム画面のアニメーションもオフにするため、「設定」の「アクセシビリティ」内の「アプリごとの設定」を選び「アプリを追加」をタップし、「ホーム画面とアプリライブラリ」を選択する。「視差効果を減らす」をオンにすれば準備完了だ。

これが終わったら、次にほかのアプリアイコンを隠そう。アプリアイコンを長押しして「Appを削除」を選び、「ホーム画面から取り除く」をタップしていく。これで、ホーム画面にはDumbPhoneウィジェットだけが残り、ほかには何も表示されない状態になる。ただし、左にスワイプしてAppライブラリにアクセスすれば、すべてのアプリは引き続き使用可能だ。

DumbPhoneウィジェット内のアプリはアイコンをタップすれば通常通りに開ける。また、シンプルなホーム画面にDumbPhoneショートカットを追加して、DumbPhoneアプリ内で外観をカスタマイズすることもできる。

ユーザーは主に使うアプリを指定できる。

DumbPhoneアプリのそのほかの設定では、ウィジェットに表示されるアプリの選択や、ウィジェットの外観、テキストの配置、ショートカット間の間隔などをカスタマイズできる。デフォルトでは白背景に黒文字だが、黒背景に白文字へと変更することも可能だ。

また、ウィジェットのプロファイルを複数作成できる機能もあり、例えば、仕事用とプライベート用でウィジェットを分け、必要に応じて素早く切り替えることができる。完全なダムフォン体験を追求するなら、iOSの通知設定も調整してみるといいだろう。

Android

Androidユーザー向けには、「Minimalist Phone」というアプリが最適だ。アプリは月額500円程度、年額プラン、または一括で3000円程度の買い切りプランが選べる。まずは7日間の無料トライアルで、自分に合うかどうか試すことができる。

Minimalist Phoneは「ランチャー」と呼ばれるアプリで、Androidのインターフェース全体、ホーム画面やメニューなどを置き換えることができる。これはiOSではできないもので、Androidのシステムに深くかかわるが、数回タップするだけで元に戻すことができる。

Minimalist Phone のインターフェイスはシンプルでクリーン。

セットアップ時には、Minimalist Phoneのコンセプトが説明され、Androidの外観を変えるために必要な権限の許可が求められる。設定が完了すると、シンプルでミニマルなインターフェースが表示される。上にスワイプで検索、下にスワイプで通知確認、左にスワイプですべてのアプリにアクセスできる。

メインのアプリ一覧からMinimalist Phoneをカスタマイズできる。アプリを長押しすると、ホーム画面にピン留めしたり、リストから非表示にしたり、最大30日間アプリへのアクセスを制限することができる。また、最近どれだけアプリを使ったかも確認でき、それを基にスマートフォンの使い方を調整できる。

アプリを長押しして「時間リマインダー」を選択すると、特定のアプリの使用時間を通知するポップアップが表示される。フォントや色の変更を含む設定は、アプリ一覧の右下にある歯車アイコンから行うことができる。同じ設定画面から「通知フィルター」を選び、Minimalist Phoneが通知をどのように管理するかを調整できる。気が散る通知をフィルターにかけ、後でまとめて確認できるリストに送ることも可能だ。これにより、通知に一日中悩まされることなく、まとめて処理できる。

アプリを隠したり、ブロックしたり、お気に入りにできる。

Minimalist Phoneは、インターフェースと機能にさまざまな変更を加えることで、スマートフォンに費やす時間を大幅に減らしてくれる。Androidを元の状態に戻したい場合は、設定画面(アプリ一覧の下部にある歯車アイコン)から「そのほか」→「Minimalist Phoneを終了」を選ぶだけで元通りになる。

(Originally published on wired.com, translated by Miranda Remington, edited by Mamiko Nakano)

※『WIRED』によるスマートフォンの関連記事はこちら。アプリの関連記事はこちら。


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