OK Goの最新PV「無重力」撮影の舞台裏

巧みに演出されたPVで有名なロックバンド「OK Go」が、今度は無重力訓練用の機内で撮影した動画を公開した。メイキング映像とともに、制作の裏側を紹介する。
OK Goの最新PV「無重力」撮影の舞台裏
画像は別の英文記事より。

巧みに演出されたクリエイティヴなPVで有名なロックバンド「OK Go」が、今度は、放物線飛行する航空機に乗って、ほぼ無重力に近い状態で撮影したPVを公開した。

「Upside Down & Inside Out」のPVでは、OK Goのメンバーたちが宙に浮かんだままピニャータ(菓子や玩具を詰めたくす玉)を引き裂いたり、塗料が入った風船を破裂させたりして、機内全体をカオスな状態にしている。

ロシアS7航空の協力を得て制作されたこのPVは、45分間以上の連続飛行を繰り返し撮影した映像から抜粋して制作された。

飛行機が45度の角度で3万2,000フィート上空まで上昇した後、数千フィート急降下すると、乗客はつかの間、無重力を体験できる。降下のたびに27秒間の無重力状態(正確には、地球で感じられる重力の100万分の1に等しい微少重力)が生じる。これは、「嘔吐彗星」(Vomit Comet)とも呼ばれる米航空宇宙局(NASA)の無重力訓練用の航空機で用いられるのと同じ飛行技術だ。今回の撮影では、各飛行で8回以上それが繰り返された。

OK Goのメンバーたちは、放物曲線の最上部まで飛行機が加速する際に、地球で感じる重力の1.8倍近い過重力も体験した。PVの3分7秒のシーンではその状態も確認できる。宙に浮いていたボールが激しい勢いで床にぶつかっているのだ。

OK Goは、最終撮影前に3週間にわたってロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)で訓練を受けた。その間に、放物線飛行21回と計2時間15分間の微少重力状態を経験した(以下は、ひとつのシーンを撮るために7回繰り返したことを紹介する動画)。

OK Goはこれまでに、手の込んだピタゴラ装置(日本語版記事)やエクササイズマシーンを使ってヴィデオを制作したり、アルバムを遺伝暗号のかたちで録音したり、HTML5を楽曲用の革新的なキャンヴァスとして利用したりしている。2014年にはPerfumeも出演する、千葉で撮影したMV(日本語版記事)も話題になった。

IMAGES AND VIDEOS COURTESY OF OK GO

TEXT BY MATTHEW REYNOLDS

TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO