スペインのGoogle News閉鎖で、新聞協会がパニック

グーグルは、リンク利用料を義務付ける法律を理由にスペイン版「Google News」を閉鎖した。同国の新聞協会は閉鎖の撤回を求めているが、同協会はもともと、この法律の導入を求めるキャンペーンを展開していた団体だ。
スペインのGoogle News閉鎖で、新聞協会がパニック
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グーグルは12月11日付けで、スペイン版「Google News」を停止すると発表した。ニュースサイトにリンクする場合に利用料の支払いを義務付ける新しい著作権法がスペインで成立したことを受けてのことだ。

新しい法律は、Google Newsなどのニュースアグリゲーション・サーヴィスが、ニュース・パブリッシャーのコンテンツを引用して表示する場合に利用料を課すもので、この法律に従わなかった場合、最高で60万ユーロ(約8,780万円)の罰金が科される可能性がある。

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スペインの出版社で構成されるロビー団体「スペイン新聞出版社協会」(AEDE)は現在、同国政府に対し、Google Newsの閉鎖を阻止するように求めている。しかし、AEDEはもともと、この新しい法律の導入を求めるキャンペーンを展開していた団体だった。

AEDEは、Google Newsが閉鎖されることを以前から懸念しており、スペイン当局が介入して「市民や企業の権利を保護」すべきだと主張している。Google Newsを閉鎖するというグーグルの決定は、「市民やスペイン企業に間違いなく悪影響を及ぼす」というのがAEDEの主張だ。

AEDEは「The Spain Report」の取材に対し、検索大手のグーグルが「中立的な立場」を取っていないと批判しながらも、いつでも「グーグルとの交渉を行う用意がある」と語った。

Google Newsのリチャード・ギングラスは12月11日に発表した声明の中で、サーヴィスを終了せざるを得ないと語っている。

「Google News自身は売り上げがないため(当社は同サイトに広告を一切掲載していません)、スペインの新しい法体制は、当社にとって維持できるものではありません。このため、誠に残念ですが、当社は新法が1月に発効される前の12月16日をもって、Google Newsからスペインにおけるパブリッシャーのコンテンツを削除し、スペインにおけるGoogle Newsを閉鎖します」

※グーグルの決定は、スペインの利用者がGoogle Newsを利用できなくなるばかりでなく、全世界のGoogle News検索結果からスペインの新聞社や出版社の記事が一切表示されなくなることを意味する。なお、ドイツでも2014年10月、グーグルが検索結果画面で同国の新聞社や雑誌社のコンテンツの抜粋を表示しない決定をしてから2週間あまりが経過した時点で、検索トラフィックが大幅に下落し、深刻な経済的損失が生じたため、メディア連盟が元通り検索結果に表示するようグーグルに要請する事態となった。ベルギーでも2007年、パブリッシャー側が勝訴し、グーグルはコンテンツを検索対象から外すことになったが、グーグルの検索結果から除外されるのは得策ではなかったことから、4年後の2011年に和解している。

TEXT BY JAMES TEMPERTON

TRANSLATION BY TAKU SATO/GALILEO