コアラが木にくっついている理由、ついに解明される

コアラは、暑くなるほど木の枝に体をくっつかせることがわかった。これは木の枝に体温を吸収させて身体を冷やすためで、特に涼しい木の種類を選んでいるという。

オーストラリアと米国の研究者からなる研究チームは、暑さの厳しい日でも、コアラが涼しさを保つ謎を解き明かす研究を行った。

37頭のコアラに発信機を内蔵した首輪を取り付け、木の上での彼らの姿勢、振る舞い、居場所を記録したのだ。さらに、赤外線写真と遠隔気象観測システムを使用して、コアラの周囲の気温を測定した。

研究チームはさらに、発信機を内蔵した首輪を取り付けたコアラ以外にも、600m×50mの範囲にいる130頭以上のコアラについて、彼らの姿勢と居場所を記録した。

イギリス王立協会が発行する『Biology Letters』に発表された論文によれば、周囲の気温が高くなるほど、コアラは木にべったりともたれる傾向があることがわかった。この姿勢は、科学文献では「木に抱きつく」(tree-hugging)というのが正式な言い方らしい。

木の枝に寝そべって体を冷やすコアラ。気温は摂氏約37度

気温がもう少し下がり、過ごしやすくなるに従い、コアラの姿勢はよくなっていき、背中を木にもたせかけたりしていた。さらに気温が低くなると、コアラは手足を体の中に入れて、体温を保とうとした(上記グラフとイラストより)。

暑いときは、ユーカリの木よりアカシアを選ぶ

「コアラは、食べるものが非常に限られているため、チャンスがあるなら、食料となる木を選ぶものだ」と、この論文の共著者で、ウィスコンシン大学マディソン校のウォレン・ポーター教授(動物学)は言う。だが、暑くなってくると、コアラたちは、食べられるユーカリの木よりも、食べられないアカシアの木にいることを好んだ。

これは理にかなった行動だ。アカシアの木は、ユーカリの木と比べて摂氏約5~7度も冷たいのだ。ユーカリの木の表面温度は、気温よりも1.5度(幹)~1.9度(根元)低いが、アカシアの木の場合は、気温より6.7度(幹)~8.9度(根元)低いという。さらに、大きな枝は分厚くて熱を吸収しやすいし、大きな枝のある場所は日陰になっている場合が多いという。

※ユーカリは50~70%の水分を含んでいるため、コアラは基本的にはユーカリなどの食べ物から水分をとっており、直接水を飲むことは稀だが、猛暑になると水を飲む姿が目撃されるという。なお、コアラには汗腺がなく、息を荒くして蒸発冷却を行うが、熱波の際の死亡率は高いという。

TEXT BY NICK STOCKTON

PHOTOS BY NATALIE BRISCOE

TRANSLATION BY TAKU SATO/GALILEO