ローマ教皇自身がソーシャルネットワークだ!?

9月に教皇フランシシコの同性愛や中絶についての発言がニュースになったが、インタヴューを行ったのは、WIRED.itのコラムニストで「サイバー神学者」のアントニオ・スパダーロ神父だ。彼によれば、教皇は存在そのものが、ひとつのソーシャルネットワークなのだという。

「教皇フランシスコは、TwitterやFacebook向きの人と定義することはできません。彼自身がひとつのソーシャルネットワークなのです」と、アントニオ・スパダーロ神父は語る。彼はイエズス会の修道士で、「サイバー神学者」を名乗っている。雑誌『Civiltà Cattolica』の編集長であり、WIRED.itのコラムニストでもある(Cyberteologia)。

9月に、教皇フランシスコが同性愛や中絶について語ったことが報じられたが、そのインタヴューを行ったのがスパダーロ神父だ。イタリアの新聞や国際的な新聞が彼を探し回っている間に、わたしたちは、ヴァチカンで開催されたソーシャルコミュニケーション教皇会議の休憩中に彼に話を聞き、パーパ・ベルゴリオ(ベルゴリオは教皇の本名)とインターネット、テクノロジーの関係について語ってもらった。

教皇は、自ら直接コミュニケーションを取ることを好む。一般の人々に彼がかける電話や、Instagramでヴァイラルする写真も、このことを証言している。「わたしたちの会話では、ネットについてはっきりと話をしたわけではありません。しかしインタヴューは、すべてコミュニケーションに関することでした。というのも、教皇フランシスコにとってコミュニケーションは必要なことだからです」と、スパダーロは語る。

彼は特定のコミュニケーションの手段を好むわけではなく、さまざまな手段の間の違いは重要ではない。「重要なのは、メッセージの直接性です」と、サイバー神学者は述べる。では、パーパ・ベルゴリオはTwitter向きの人なのだろうか? 「いいえ。彼が、ひとつのソーシャルネットワークなのです。彼は普通のコミュニケーションを好みます。しかし、単に伝えるのではありません。伝わりやすく、動的なイヴェントをつくり出します」。

彼が教皇になった最初の瞬間のことを思い出してみるといい。スパダーロが語っているように、まず最初に教皇は、自分のために祈るように求めた。これから起ころうとしていることについて、信者に能動的に参加してもらおうとしたのだ。「彼が投げかけるメッセージの直接性には、ひとつのパラドックスが生まれます。権威は感じられるけど、距離をつくらないのです」と、スパダーロは述べている。

まさにこのために、教皇はインタヴューに懐疑的だった、とスパダーロはわたしたちに語る。「教皇は形式を不自由に思い、真摯さを必要としていたのです」。重要なのは、さまざまな出会いのなかで形成されていくコンタクトだ。そしてこれは、本人が直接行ってのみ可能なことだ。

実際、教皇はコンピューターもスマートフォンも持っていない(iPadを贈られたにもかかわらず)。にもかかわらず、ベルゴリオはネットにも足を伸ばそうとする。「人々はインターネット上にもいます。だから、そこに行かなければなりません」と、スパダーロは語る。

実際、教皇フランシスコの言葉は、彼がベネディクト16世から引き継いだTwitterアカウントのおかげで、ウェブ上をめぐり続けている。サイバー神学者のインタヴューも、#HablaFrancisco(フランシスコが語る)のハッシュタグとともに紹介され続けている。

「伝統的なメディアが倫理上の問題に集中するのに対して、ソーシャルネットワークでの会話は霊的なテーマにも広がっています」と、スパダーロは語る。では、ネットは教会と信者の間の距離を埋めるために利用することができるのだろうか? 「いいえ」と、スパダーロは答える。「ソーシャルネットワークでは、すでに霊的な事柄が語られています。重要なのは、物理的な環境とデジタルな環境を融合させることです」。

TEXT BY ANDREA GENTILE

TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI