売り上げ最高記録のアップル、もたつく他陣営:スマホ市場

Appleの売上はこれまでの最高記録を大きく上回った。一方で、販売台数が3億台を突破したというSamsungや、Razrブランドの成功にあやかりたいMotorola、Lumiaシリーズが予想を上回ったNokiaなど。2011年のスマホ市場を振り返る。
売り上げ最高記録のアップル、もたつく他陣営:スマホ市場

Android対Appleの戦い──Android陣営に以前ほどの勢いはみられない。(写真:Jon Snyder/Wired.com)

スマートフォンメーカーにとってはいい時代が来ているのかも知れない。その会社の名前が「Apple」であれば、の話だが。

Appleの財務面に関する勢いは、一言でいって正気の沙汰とは思えないもので、先ごろ発表された2011年10-12月期の業績は、株主やウォールストリートの予想をはるかに超える結果となった。同期の売上はこれまでの最高記録を大きく上回り、利益も前年同期のほぼ2倍に増加。同社が3ヶ月間で販売したiPhoneの数は3700万台以上で、1四半期にこれだけの製品が売れたというのはAppleの歴史始まって以来のことである。

それに対して、Appleと競合するスマートフォンメーカー各社はどこもAppleの勢いに打ちのめされ、同社に挑むための有効な戦略を探しあぐねているかのようだ。

たとえば、一度はAppleに対抗できる最有力候補とみられていたMotorola Mobilityは、同四半期にスマートフォン530万台とタブレット20万台を売ることしかできず、結局8000万ドルの赤字を計上。同社は決算発表のなかで、昨年後半に復活させた「Razr」ブランドのスマートフォンが販売好調だったと期待を持たせる説明をしていたし、確かに530万という数は前年同期の490万(台)よりも多くなっている。だが、2011年を通して同社が販売したスマートフォンの数はわずか1870万台で、アップルが1四半期で販売した台数の半分強に過ぎない。

Nokiaについても事情は同様で、新たに採用したWindows Phoneで経営の立て直しを図る同社では、依然として赤字の状態が続いている。同四半期の赤字額は12億ドルで、スマートフォンの販売台数は1960万台。この台数はそれなりに多いように思えるが、実は前年同期の実績より31%も少ない。

それでも、Apple以外のスマートフォンメーカーにもまだ希望は残っている。

現在Android陣営のなかでも最強とみられるSamsungは、26日に行った決算発表のなかで、同四半期のスマートフォン販売台数が過去最高となったことを明かしていた。同社はOS別やモデル別といった細かい販売データを公表していないが、Androidスマートフォン「Galaxy S」シリーズの好調な売れ行きなどが手伝って、2011年の携帯電話端末の合計販売台数が3億台を突破したとBloombergに語っていた。

この3億台という数字のなかには、スマートフォンだけでなく、フィーチャーフォンなど非スマートフォン端末も含まれているが、それにしても同社が膨大な数の端末を出荷したことに間違いはない。さらに、同社の純利益は4兆ウォン(米ドル換算で36億ドル)と、前年同期の3兆4000億ウォンからさらに増加している。

Motorolaでは、さらにRazrブランドの成功にあやかりたい考えで、今後も引き続き同ブランドを冠した新製品を投入していくと説明していた。ちなみに同ブランドの最新機種となる「Razr Maxx」は、より大容量のバッテリーを搭載し、通話可能時間も延びている。さらにMotorolaは、2000年代なかばに大ヒットを記録した初代Razrの時と同様に、今年はさまざまなカラーバリエーションのRazr端末を順次投入していく予定(ホワイトバージョンはすでに発売済み)。

いっぽうNokiaの赤字については、全社の戦略変更にともなう巻き添えの結果という見方もできる。同社は現在、長きにわたって採用してきたSymbian OSやIntelと共同開発していたMeego OSから、MicrosoftのWindows Phoneプラットフォームへの移行を徐々に進めている。

さらに今回の決算発表のなかには一筋の光明も見えている。Windows Phone OSを搭載するLumiaシリーズの販売台数が100万台を超えたというのである。この数字はアナリストらの予想を上回るもので、同社のロードマップに将来性があることを示すものだった。

しかし、今後もしばらくはアップルの天下が続くことに間違いはない。Steve Jobs氏というリーダーを失った同社が、これからもモバイル端末市場で競合各社を相手にうまく戦っていけるかどうか。その鍵を握るTim Cook新CEOの経営手腕に、各方面からの注目が集まっている。

TEXT BY Mike Isaac
TRANSLATION BY 三国大洋

WIRED NEWS 原文(English)